解説:ドローン免許!国家資格の無人航空機操縦士の実地試験内容や受験料は?

今回、国交省より公開された二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)の情報を元にドローンの国家試験とはどのような内容なのか確認してみたと思います。
ここで紹介するのはドローンスクールでの内容ではなく、試験場へ行って一発試験を受ける際の内容を実施細則を元に書いたものになります。
私自身、まだ実地試験を受験しておりませんので、受験後に内容を更新しようと考えております。現状は実施細則を個人的に理解するためにまとめた内容になっていることをご留意頂ければと思います。

無人航空機操縦者技能証明に関する情報は、国土交通省の「航空安全:無人航空機操縦者技能証明等 – 国土交通省」で確認することが可能です。

もくじ

無人航空機操縦者技能証明の国家試験構成

1等、2等の試験は共に、身体検査と学科試験と実地試験において行われます。

身体検査

視力や色覚、聴力、運動能力などの測定を行います。
自動車運転免許証など公的免許証の提出などで代用することも可能。一等資格(25kg以上)は医師の診断書が必要。

【手数料】
書類での受検 5,200円
会場での受検 19,900円

学科試験

学科試験には一等資格と二等資格の2種類があります。一等資格は複雑な計算問題も出される予定で難易度が一気に高くなっている印象です。下に詳しく解説した関連記事のリンクを貼っておきます。二等資格の学科試験は合格しましたが、勉強に使用したのは「無人航空機の飛行の安全に関する教則」です。この教則をしっかりと頭にいれておけば二等の学科試験は問題なく合格できます。

実施方法:全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT
形式:三肢択一式 (一等:70問 二等:50問)
試験時間:一等資格:75分、二等資格:30分
有効期間:合格後2年
受験料:一等資格:9,900円、二等資格:8,800円
※一発試験を受ける場合は事前に学科試験に合格している必要があります。合格後、有効期間が2年ありますから、その間に実技試験にパスすれば免許を取得することができます。

実地試験

100点の持ち点からの減点式採点法で終了時に70点以上なら合格
(一等資格は一等用の実地試験で80点以上で合格)

実地試験は大きく分けて一等と二等があります。
そして、それぞれに限定項目が設けられています

  • 25kg以上の機体
  • 夜間飛行
  • 目視外飛行

基本免許だけですと、この3つの限定は解除されていませんので、追加で試験を受ける必要があります。

無人航空機操縦者技能証明の申請に係る手数料

国家資格であるドローン免許取得に関する手数料が公開されましたのでご紹介します。
想像よりも結構お高い値段になっている印象です。
スクールで実地試験を免除することも可能ですが、スクールの場合ですと、この金額+講習料+αになります。
一等試験の方が若干高くなっていますね。

スクロールできます
基本
(昼間・目視内・25kg未満)
+夜間
(限定変更)
+目視外
(限定変更)
+25kg以上
(限定変更)
回転翼航空機
(マルチローター)
二等試験
20,400円19,800円19,800円19,800円
回転翼航空機
(マルチローター)
一等試験
22,200円20,800円20,800円20,800円
参照サイト:技能証明試験の種別・手数料 – 無人航空機操縦士試験案内サイト

二等無人航空機操縦士実地試験 具体的な試験内容

身体検査や学科試験は別記事にしますので、今回はドローンの国家試験の実地試験内容について具体的な中身を確認していこうと思います。大きく分けて以下のような流れになります。
限定項目(25kg以上の機体、夜間飛行、目視外飛行)に関しては省略しています。

  • 机上試験
    • 飛行計画の作成
  • 口述試験(飛行前点検)
    • 作動前の機体点検
    • 飛行空域及びその周辺の確認
    • 作動点検
  • 実技試験(正常時の基本飛行)
    • スクエア飛行
    • 8の字飛行
  • 実技試験(異常事態の発生時の飛行)
    • 異常事態における飛行
  • 口述試験(飛行後の点検と記録)
    • 飛行後点検
    • 飛行後の記録
  • 口述試験(事故、重大インシデントの報告)
    • 事故及び重大インシデントの説明
    • 事故発生時の処置の説明

机上試験

実技試験での最初は実技ではなくペーパーテストのようですね。最初に以下のように飛行計画の作成についての机上試験が行われるとのこと。航空法が理解できているか、安全確保や事故の予防が出来るか。機体の特徴や自動飛行機能の理解などが問われる試験とのこと。

【飛行計画の作成】

試験員より昼間の目視内、立入管理措置が講じられた条件での模擬飛行計画を提示し、飛行計画の作成において留意が必要な事項について、受験者が理解しているかどうかを判定可能な質問を行い、答えさせる。出題数は、4問とする。

(目的) 立入管理措置が講じられた昼間かつ目視内の飛行に必要な知識を有するかどうかを判定する。

◎判定基準
1. 誤答なく、必要な事項について留意できることを示す回答であること。
2. 所定の制限時間以内に回答できること。

◎留意事項(例)
(1)航空法等の遵守
(2)安全確保、事故の予防、緊急時の対応
(3)機体の使用の条件、限界事項
(4)自動飛行機能の設定(自動飛行する経路、危機回避機能の設定等)

◎制限時間
5分

◎減点基準
1.誤りがあった場合に、1問につき5点を減点
2. 回答時間5分以内に全問を回答できること。未回答の設問については、1問あたり5点を減点

口述試験(飛行前点検)

最初のペーパーテストが終了すると次は口述試験。試験官の質問に対して口頭で答えるテストです。ここでは以下の3つの項目について試験が行われます。試験官から点検項目が伝えられ、その点検結果を口頭で答える内容のようです。
・飛行空域及びその周辺の確認
・作動前機体点検
・作動点検

【飛行空域及びその周辺の確認】

飛行空域及びその周辺の確認事項を受験者に示し、結果を答えさせる。

◎判定基準
確認の漏れ又は誤りがなく、正確な確認を行うことができること。

確認事項(例)
(1)飛行空域及びその周辺の状況に問題はないか。
(2)航空法等の違反はないか。
(3)必要な許可証又は承認証を携帯しているか。
(4)操縦者の体調等に問題はないか。
(5)気象状況に問題はないか。

◎減点基準
確認に漏れ若しくは誤りが一つでもあった場合は10点を減点

【作動前の機体点検】

無人航空機の飛行日誌の取扱要領に準じた日常点検記録の様式を受験者に提供し、試験員の指示に従って点検をさせる。点検結果を当該様式に記載させる。

(目的) 飛行前の点検を適切に行うことができるかどうかを判定する。

◎判定基準
点検の漏れ又は誤りがなく、正確な点検を行うことができること。

点検項目(例)
(1)各機器が確実に取り付けられているか。(ネジ、コネクター等の脱落やゆるみ等)
(2)機体プロペラ、フレーム、機体識別票等)の外観に損傷、ゆがみ等がないか。

◎減点基準
日常点検記録への記載漏れ若しくは誤りが一つでもあった場合は10点を減点

【作動点検】

機体及び操縦装置を作動させて、試験員の指示に従って点検をさせる。点検結果を日常点検記録の様式に記載させる。
※作動点検に関する事項の確認後、機体を着陸させる。

作動点検(例)
(1)機体の電源投入時に、送信機が起動済みであるか。正常な動きか。
(2)機体と操縦装置の通信、GNSS の通信等は正常か。
(3)燃料の搭載量又はバッテリーの残量は十分か。
(4)リモートID機能の作動が正常であるか
(リモートID非搭載機の場合は、リモートIDが正常に作動していると仮定し、リモートIDが正常に作動している旨の点呼を行う)
(5)発動機やモーターに異音がないか。
(6)機体を離陸地点直上でホバリングさせた状態で、ラダー、エルロン、エレベーター、スロットルの操作を行い、機体が正常に作動するか。 (作動点検に関する事項の確認後、機体を着陸させる。)

◎減点基準
日常点検記録への記載漏れ若しくは誤りが一つでもあった場合は10点を減点

実技試験(正常時の基本飛行)

ペーパーテスト、口頭での試験が終了し、やっと本当の実技試験内容に入ってきます。
ここではスクエア飛行と8の字飛行の実技が問われます。
2等の場合はGNSSとビジョンセンサーがONの状態で行われますから風の影響はさほど受けないですね。きっちりとライン取りが出来るかが勝負です。

(目的) 立入管理措置が講じられた昼間かつ目視内の飛行に係る基本的な操縦能力を有するかどうかを判定する

【スクエア飛行】

(1)GNSS ON、ビジョンセンサーONの状態で機首を前方にむけて離陸を行い、高度3.5メートルまで上昇し、5秒間ホバリングを行う。
(2)試験員が口述で指示する飛行経路及び手順で直線上に飛行する。機体の機首は常に進行方向を向いた状態で移動をする。
(3)移動完了後、着陸を行う。

◎判定基準
1. 試験員の指示通りの飛行経路及び手順であること。
2. 所定の飛行経路を維持でき、飛行経路から1.5メートル以上逸脱しないこと。
3. 操作は柔軟円滑であり、急激な操作を行わないこと。
4. 飛行経路及び高度が大きくふらつかないこと。
5. 適切な速度を保つことができること。
6. 所定の範囲で、安定したホバリングを行うことができること。
7. 所定の範囲に安全な着陸を行うことができること。
8. 所定の制限時間以内に、飛行を完了させること。

◎制限時間
8分

◎減点基準
【不合格】
・危険な飛行
・墜落、損傷、制御不能
・不合格区画への進入
・制限時間超過
・試験員による操作介入
・不正行為

【5点減点】
・飛行経路逸脱
・指示と異なる飛行
・離着陸不良
・監視不足
・安全確認不足

【1点減点】
・ふらつき
・不円滑
・機首方向不良

◎試験コース図

【スクエア飛行】 引用元:二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機

【8の字飛行】

(1)GNSS ON、ビジョンセンサーONの状態で機首を前方に向けて離陸を行い、高度1.5メートルまで上昇し5秒間ホバリングを行う。
(2)試験員が口頭で指示する飛行経路及び手順で、機体の機首を進行方向に向けた状態での8の字飛行を、連続して二周行う。
(3)8の字飛行完了後、着陸を行う。 円直径は約5メートルとする

◎判定基準
1. 試験員の指示通りの飛行経路及び手順であること。
2. 所定の飛行経路を維持でき、飛行経路から 1.5 メートル以上逸脱しないこと。
3. 操作は柔軟円滑であり、急激な操作を行わないこと。
4. 飛行経路及び高度が大きくふらつかないこと。
5. 適切な速度を保つことができること。機体を停止させて旋回させることがないこと。
6. 所定の範囲で、安定したホバリングを行うことができること。
7. 所定の範囲に安全な着陸を行うことができること。
8. 所定の制限時間以内に、飛行を完了させること。

◎制限時間
8分

◎減点基準
スクエア飛行時と同様

◎試験コース図

【8の字飛行】 引用元:二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機

実技試験(異常事態の発生時の飛行)

実技試験の2つ目は異常事態における飛行ということで、先ほどはGNSSとビジョンセンサーがONでしたが、今度は両方ともにOFFの状態での飛行になります。スクエアや8の字飛行ではなく左右の直線飛行にとホバリングが出来るかの試験になります。

(目的) 立入管理措置が講じられた昼間かつ目視内の飛行において、機体の水平方向の位置安定機能に不具合が発生した場合においても、安全な飛行の継続及び着陸ができる技能を有するかどうかを判定する。

【異常事態における飛行】

(1)GNSS OFF、ビジョンセンサーOFFの状態で機首を前方に向けて離陸を行い、高度3.5メートルまで上昇し、5秒間ホバリングを行う。
(2)試験員が口述で指示する飛行経路及び手順で直線上に飛行する。機体の機首は常に前方を向いた状態で側方への移動を行い続ける。
(3)試験員からの緊急着陸を行う旨の口述指示があり次第、最短の飛行経路で指定された緊急着陸地点に着陸を行う。

◎判定基準
1. 試験員の指示通りの飛行経路及び手順であること。
2. 所定の飛行経路を維持でき、飛行経路から1.5メートル以上逸脱しないこと。
3. 操作は柔軟円滑であり、急激な操作を行わないこと。
4. 飛行経路及び高度が大きくふらつかないこと。
5. 適切な速度を保つことができること。
6. 所定の範囲で、安定したホバリングを行うことができること。
7. 所定の範囲に安全な着陸を行うことができること。
8. 所定の制限時間以内に、飛行を完了させること。

◎制限時間
6分

◎減点基準
スクエア飛行時と同様

◎試験コース図

【異常事態における飛行】 引用元:二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機

口述試験(飛行後の点検と記録)

ドローン操作の実技試験後は飛行後の点検と記録に関しての口述試験になります。
飛行前にも安全点検等で口述試験がありましたが、今度は飛行後にしっかり点検と記録が出来るかのテストになります。

(目的) 飛行後の点検と記録を適切に行うことができるかどうかを判定する。

【飛行後点検】

試験員の指示に従って飛行後の点検をさせ、点検結果を日常点検記録の様式に記載させる。

◎判定基準
点検の漏れ又は誤りがなく、正確な点検を行うことができること。

点検項目(例)
(1)各機器が確実に取り付けられているか。(ネジ、コネクター等の脱落やゆるみ等)
(2)機体(プロペラ、フレーム、機体識別票等)の外観、損傷、ゆがみ等がないか。
(3)各機器の異常な発熱はないか。
(4)機体へのゴミ付着等、そのほかの外観異常はないか。
(5)操縦時に異常はなかったか。特に、発動機やモーター、機体と送信機の通信、機体の制御に異常はなかったか。

◎減点基準
点検結果の記載漏れ又は誤りが一つでもあった場合、5点を減点

【飛行後の記録】

無人航空機の飛行日誌の取扱要領に準じた飛行記録の様式を提供し、実施した飛行を記録させる。飛行時に異常が認められた場合は、当該様式に不具合事項を記載することとする。

◎判定基準
記載の漏れ又は誤りがなく、正確な記録を行うことができること。

◎減点基準
記載の漏れ又は誤りが一つでもあった場合、10点を減点

口述試験(事故、重大インシデントの報告)

そして、最後に事故や重大インシデントが発生した際の対応について問題がないかのテストが行われ終了となります。

(目的) 事故、重大インシデント発生時の報告と対応について、適切に行うことができるかどうかを判定する。

【事故及び重大インシデントの説明】

事故又は重大インシデントのどちらかについて、該当する事態の3つを口頭で答えさせる。又は用意された様式に記入させる。

◎判定基準
説明の漏れ又は誤りがなく、正しい説明を行うことができること。

◎制限時間
3分 

◎減点基準
抜け又は誤りがあった場合、5点を減点
回答時間3分以内に回答できること。未回答の場合は、5点を減点

【事故発生時の処置の説明】

事故等が発生した際の適切な処置について受験者が理解しているかどうかを判定可能な質問を行い、口頭で答えさせる。又は用意された様式に記入させる。出題数は、1問とする。

◎判定基準
説明の漏れ又は誤りがなく、正しい説明を行うことができること。

◎制限時間
3分

◎減点基準
抜け又は誤りがあった場合、5点を減点
回答時間3分以内に回答できること。未回答の場合は、5点を減点

重大インシデントの報告について(最後の口述試験)

最後に事故・重大インシデントのどちらかについて、該当する事態の3つを口頭で答えさせる問題と、その対応についての問題がでます。
事故または重大インシデントに該当する事態と、その対応については口頭でしっかりと答えられるようにしておきましょう。
第1回目の実技試験を受験した方の話によると、この重大インシデントの報告について答えられない人が多数いたようです。忘れがちな項目ですので詳しく自分の為にも書いておきます。

重大インシデントの報告 口述試験の想定問答

以下の想定Qと回答は個人的に試験対策としてまとめたメモ書きです。
あくまで個人が考えた想定問答としてご覧頂ければと思います。(適切な回答であることを保証するものではありません。)

重大インシデントの想定問答
Q.事故の事態を3つ答えよ
  • ドローンによる人の死傷(重症以上)
  • ドローンによる物件の損壊
  • 航空機との衝突又は接触
Q.重大インシデントの事態を3つ答えよ
  • 航空機との衝突または接触のおそれがあったとき
  • 人の負傷(重症以上を除く)
  • ドローンが制御不能になったとき
  • ドローンが発火したとき
    ※上記から3点答える
Q.事故が発生したときの対応を答えよ
  • 飛行を中止する
  • 負傷者を救護する
  • 警察・消防などへの連絡
  • DIPS2.0で事故報告
    ※上記はドローンが事故後も飛行を続けており負傷者がいる場合を想定したもの

事故・重大インシデントの定義について

事故と重大インシデントについては航空法に定義がかかれています。その定義と対応、報告等については「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領 」が参考になります。
この報告要領を参考に事故と重大インシデントに関して書いておきます。
それぞれ定義が決まっていますので、「無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領 」を参考に抜粋しながら確認しておきます。

事故・重大インシデントの定義と発生時の義務
事故とは
  • 無人航空機による人の死傷又は物件の損壊
    • 死傷:重傷以上の物が対象で、その範囲は第三者に限らず操縦者及びその関係者を含みます
    • 物損:軽微なものも含め、第三者の所有物(人工物)を損傷させた場合
  • 航空機との衝突又は接触
    • いずれか、もしくは双方に接触による損傷が発生したもの
重大インシデントとは
  • 飛行中航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認めたとき
    • 他の航空機との衝突を予防するために衝突回避措置を行った時
  • 無人航空機による人の負傷(重症以上を除く)
    • 重傷以上を除いたもので、その範囲は第三者に限らず操縦者及びその関係者を含みます
  • 無人航空機の制御が不能となった事態
    • 機体の不具合により制御不能となった事態のことで、無人航空機を紛失した場合も含まれます。操縦ミスに起因する操縦不能によるものは報告の対象外です。
      • 該当ケース
        • 例1:無人航空機と操縦装置間の通信障害
        • 例2:想定しないバッテリー切れ
        • 例3:機体構造や装備品等の機能不良
      • 該当しないケース
        • 例1:無人航空機が操縦装置と通信可能な範囲から逸脱したもの
        • 例2:バッテリー残量の確認不足によるバッテリー切れ
        • 例3:急旋回等の操作による失速、気象状況の確認不足により風にあおられたなど
  • 無人航空機が発火した事態(飛行中に発生したものに限る)
    • 無人航空機の推進装置が稼働状態にある場合において発生したもの
      • 該当しないケース
        • 例:保管中の無人航空機のバッテリーの発火
事故等(事故・重大インシデント)が発生した場合の義務
  • 救護義務
    • 負傷者を救護する
      • 可能な応急救護処置を行う
      • 医師や救急車を呼ぶ
    • その他の危険を防止するために必要な措置(事故による被害拡大を防止する)
      • 火災が発生している場合は消防への連絡や消火活動
      • 警察官への事故報告
    • 飛行の中止
      • 負傷者を救護すること、その他の危険を防止するために必要な措置を講じるため、速やかに無人航空機を着陸させる。(安全に着陸できる緊急着陸場所や出発地、目的地など)
  • 報告義務
    • 事故等の報告は、速やかにドローン情報基盤システム(DIPS)で行う。
    • DIPS内の事故等報告機能(報告システム)を使用し報告を行う。
    • やむを得ない理由により、DIPSで報告できない場合、官署宛てに添付の様式により報告を行うことができます。

全ての飛行が終わった後、口述試験があるようなので、しっかりと対策していきたいですね。

実際に日本海事協会で無人航空機操縦士試験を受験し合格

先日、二等無人航空機操縦士実地試験を受験してきました。無事1回の受験で合格を頂きました。
当然ながら初めての試験でしたので、非常に緊張しました。
口述試験の「飛行空域及びその他の確認」は答える内容が飛ばないように、繰り返し復唱し覚えていきました。

実技試験の飛行自体は基本はビジョンセンサーが付いて難しいものでは無いですが、口述試験に関しては間違えたり、言うべき内容を落したりした場合の減点が大きいので、そちらの方が緊張しました。

最初の机上試験はそれほど難し問題では学科試験に合格していれば問題無く解けると思います。
ただし机上試験は試験細則にあるように出題は4問で5分で修了しますので、あっという間です。多くの方がYouTube等で発信しているように、機体の諸元情報や操縦者の情報、飛行計画等は最初に読まずに、各問題を読んでから答えを見つけ出す方法が時間的には効率が良いと思います。
よく考えれば解ける問題なので、教則を読み込んでおけば問題は無いと思います。

細則にも書いてありますが、以下の項目が出題されると思いますので、可能であれば想定問題を自分で考えておいても良いかと思います。登録講習機関ですと実際の問題に似せた模擬テストを用意してくれるところもあるようです。
(1) 航空法等の法令遵守
(2) 安全確保措置
(3) 機体の仕様、限界事項
(4) 自動飛行機能の設定(自動飛行する経路、危機回避機能の設定等)

口述試験、実技試験など、それぞれ具体的な感想は別途エントリーを用意して書こうと思いますが、二等は一等と比べて非常に難易度は低くなっています。
ただそうはいっても登録講習機関と違って、練習無しの一発勝負なので緊張感は非常にあります。
口述試験の解答例も実技の練習も誰かが教えてくれるわけではありませんので、全部自分で考え練習も自分で行う必要があります。ですので海事協会での試験と登録講習機関での試験は同じだと言われているものの、合格までの道のりという点では、明らかに難易度は高くなると思います。

実技試験もGNSSや下方ビジョンセンサーがONになっているとはいえ、スクエア飛行に関しての遠近感・距離感が初めてだと掴みにくいかも知れません。
操作は問題無くても遠近感・距離感に関しては、やはり慣れが必要な方もいるかも。
実は私もスクエア飛行のC点→D点間に関しては、非常に難しく感じました。
ただ二等試験ではGNSSや下方ビジョンセンサーがONになっているので慌てる状況にならないので落ち着いて移動すれば大丈夫でした。
これが一等試験の場合はATTIになるので風速が2~3mあると、かなり難しいと思います。

二等の試験コースはスクエア飛行と8の字飛行がGNSS・下方ビジョンセンサーONでの飛行。
異常事態における飛行がATTIでの飛行になります。
私は無事にどの試験コースも減点区域に入ることなく試験を終了出来ました。気の抜くとC→D間で減点区域に入りそうな予感がしたので、しっかり気を引き締めてゆっくりな移動を心掛けました。
私が一番緊張したのはスクエア飛行のC点→D点間です。その次が異常事態における飛行です。
屋内での試験でしたので、ほぼ無風状態での異常事態における飛行はATTIでの操作にある程度慣れていれば問題無いと感じました。屋外での試験だと難易度は上がると思います。ただスクエア飛行のC点→D点間よりは手前にある地点の往復なので、遠近感・距離感に惑わされることは無さそうです。

実技試験終了後は飛行後の点検や事故重大インシデントに関する口述試験、飛行日誌(飛行記録)の作成などがあります。こちらも長くなってしまうので、詳しくは別エントリーで書こうと思います。

今回試験を受けた感想としては、個人で一発試験を受験するのは十分可能ですが、それなりの準備は必要だと感じました。
とくに試験細則と教則に関しては深く読み込む必要性を特に感じました。
基本的には「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則」と「無人航空機の飛行の安全に関する教則」に全てが書かれています。これをどう読解するか。それが肝です。「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則」での不明点は「無人航空機の飛行の安全に関する教則」を読んで補完するという感じでしょうか。
プラスして「無人航空機の飛行日誌の取り扱いに関するガイドライン」も読んでおくと不明点が少なくなります。

これを読み込んだうえで、あとは実技の不安を無くすために操縦訓練を行いました。
実際に試験で使用される同型のファントムを使用したのは数回だけ。あとは高度維持機能などが付いていないマイクロドローン(屋内練習)とシミュレーターでほぼ対応しました。
実際にファントムを使用してATTIで屋外練習したかったのですが、それほど時間も環境も整わず出来ませんでした。

業務で空撮機は使用しているので、ATTIの感覚をマイクロドローンとリアルフライト(シミュレーター)で慣れさせた感じです。

私は最初から指定試験機関である日本海事協会(ClassNK)での一発試験で受験したいという強い思いがあったので、NKでの受験を選択しました。
その方が一から学びなおせますし、一方的に教えてもらうよりも、より深く学べると思ったからです。
ただ結構大変です。登録講習機関(ドローンスクール)でも最終的な試験内容は同じなのですが、試験本番に至るまでの過程が違います。最終審査に至るまでの過程を全て自分で整える必要があるので、勉強になる反面、それなりの準備は必要です。
それが楽しみでもあるのですが。
今回は色々と勉強になりました。

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この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
Gender : man 
My job : Photographer,Drone Pilot

CERTIFICATION
アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
d.bibouroku@gmail.com

コメント

コメント一覧 (2件)

  • とても参考になりました。ありがとうございました。
    一つ伺いたいことがあります。3-1口述試験 「飛行空域およびその他の確認」のとき、口述試験の前提として、二等飛行資格+二種機体認証の条件は提示のうえ、口述試験はされていたでしょうか?
    この前提条件で試験解答が大分変わると思うので、ご教授下さい。

    • コメントありがとうございます。まだ準備不足並びに時間が内容状況で試験を受験できておりません。私も色々と気になる点がいくつかあるのですが、実際の状況に関してご提供できる情報がなく大変に申し訳ありません。コメントの内容、試験後にご提供できる部分がありましたら返答させて頂きます。今回はお力になれず申し訳ありません。

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