ドローンの国家資格化が始まり、ドローンの免許を取得しようと思っている方も多いと思います。
学科試験と身体検査に加え実技試験をパスしなければ国家資格は取得できません。
多くの方がドローンスクールへ通ってスクール内の修了審査を受けるコースを選ばれることと思います。
しかし、この記事にたどり着いた方は、一発試験があるんじゃないの?ということでご訪問されたと思います。
ご察しの通り、ドローン免許にも国の指定機関で実地試験を受験するという、いわゆる「一発試験」があります。
そこで、国交省の一発試験に対する見解をお伝えしようと思います。
一発試験=国の指定機関で実地試験を受験する
ドローンの免許取得(実技試験)には大きく分けて2通りあります。
・ドローンスクールへ通って実技試験を免除してもらう(スクールで修了審査が行われます)
・国の指定機関で実地試験を受験する(ClassNK)
ドローンスクールへ通った場合は実技試験が免除されますが、スクールでの修了審査が行われます。技術的に未熟だと判定されれば審査を通ることはありません。最後の終了審査は国の指定機関で行われる実地試験と同等と思われます。
スクールのメリットは審査前に丁寧に技術を教えてくれることだと思います。
しかし、もう既に技術はあるから直接試験を受けたい!免許取得にかかる金額を少しでも安くしたい。そういった理由をお持ちの方もいるかと思います。
その場合は、国の指定機関で実地試験を受験することになります。つまり一発試験です。
一発試験の実技内容については、以下のエントリーにて書いておりますので、そこでご確認頂ければと思います。
一発試験を受験するには!?
国から試験機関として指定されたのは「一般財団法人日本海事協会(ClassNK)」になります。
無人航空機操縦士試験案内サイトが立ち上がり試験の受付などを進めています。試験の流れや登録の方法なども以下のサイトに詳細がかかれています。
その概要をご紹介しておきます。
受付から免許交付までの一連の流れ
詳細は無人航空機操縦士試験案内サイトにてご確認頂きたいのですが、ざっくり書くと以下のような流れになっているようです。
- DIPSのアカウントを取得する(個人アカウント)
- DIPS内で「技能証明申請者番号の取得」を押し申請する
- 申請後に国による本人確認の審査が完了したら技能証明申請者番号がDIPSから自動で発行される
- 試験申込システムの試験一覧から「受験資格の確認」を選択し、試験名をクリック
- 詳細を確認し申し込む
- 完了したらメールで通知される
- 試験申込システムの試験一覧から受験する学科試験を選択し申込フォームを送信する
- CBT運営会社の専用ページにアクセスする
- 試験に申込む(CBT運営会社の専用ページ)
- 試験申込システムの試験一覧から受験する実技試験を選択し申込フォームを送信する
- 手数料を支払う
- 実地試験を予約する
- 実地試験を受験する
- メール通知
- 結果を確認する(試験申込システム)
- 指定試験機関による身体検査の受検、もしくは有効な公的証明書の提出/医療機関の診断書の提出
- 試験申込システムの試験一覧から【試験合格証明書発行】を選択し申込フォームを送信する
- メール通知
- 試験合格証明書の確認を行う
- 取得したアカウントでDIPSにログイン
- 新規取得の場合は「技能証明書の新規交付」、限定変更の場合は「技能証明の限定変更」を押し、申請を行う
- 申請後に手数料のお支払い及び国による申請内容の審査が完了したら、DIPSに登録された書類発送先の住所に技能証明書が郵送される
一発試験について言及した国交省の回答
無人航空機の免許制度に関わるパブリック・コメント制度(意見公募手続)の回答内で、国の指定機関で実地試験を受験することについての言及がいくつかありました。
いくつかをご紹介していこうと思います。
意見として多くみられたのが、ドローンスクールの値段が高すぎるんだよ!という苦情とも思える意見の数々。既にドローンスクールへ通い民間資格を取得している人からは、何十万円も支払って民間資格を取得したのに、国家資格を取得するのに更にスクールへ行けというのか!という怒りのような意見が多数ありました。
どれだけ苦労してドローンスクールで資格を取得したのか長文に渡り書かれている意見などを読むと、確かにその気持ち分かります~。と思ってしまいます。
では国としては、その意見に対してどう回答しているのか概要をご紹介します。
国家試験の実技試験免除のためにドローンスクールに通うと高額になってしまう
- 【意見概要】国家試験の実技試験免除のためにドローンスクールに通うと高額になってしまう
- 【回答概要】直接、指定機関で実地試験を受験頂くことにより、費用を抑えることは可能。無人航空機操縦者技能証明制度では、国が指定する1つの試験機関(指定試験機関)において実施される学科試験、実地試験、身体検査の全てに合格すれば技能証明書を交付する。必ずしも登録講習機関において講習を受講し修了する必要はない
たしかに、一発試験を受けるよりもスクールの方が金額は当然高くなります。
ただ、スクールによっては最後に行われる修了審査に合格できなかった時に、追加の料金なしで再受験が行われるケースや、少額によって再受験できるなどの措置が取られる可能性はあります。
指定機関で受験した場合は、落ちたら受験料をもう一度支払う必要があります。
ドローン免許取得に関する手数料
国家資格であるドローン免許取得に関する手数料が発表されました。その金額がこちらです。一等が若干高くなっていますね。
学科試験手数料
- 一等学科試験
- 9,900円
- 二等学科試験
- 8,800円
実地試験手数料
基本 (昼間・目視内・25kg未満) | +夜間 (限定変更) | +目視外 (限定変更) | +25kg以上 (限定変更) | |
回転翼航空機 (マルチローター) 二等試験 | 20,400円 | 19,800円 | 19,800円 | 19,800円 |
回転翼航空機 (マルチローター) 一等試験 | 22,200円 | 20,800円 | 20,800円 | 20,800円 |
身体検査手数料
- 書類での受検(自動車免許証等の書類を提出し書面にて受検する方法)
- 5,200円
- 会場での受検(受験者が指定試験機関が準備する会場で直接身体検査を受検する方法)
- 19,900円
国が指定する1つの試験機関(指定試験機関)では機体は用意されているのか
- 【意見概要】国が指定する1つの試験機関(指定試験機関)では機体は用意されているのか、受験者が用意するのか
- 【回答概要】最大離陸重量25kg未満のマルチローターの試験については、指定試験機関で機体を用意する予定。最大離陸重量25kg以上のマルチローター及びその他の無人航空機の種類に関しては、試験場所と機体を受験者に用意して頂く予定。告示で機体要件を定める。その要件に適合する機体を準備してもらいたい。なお、指定試験機関で用意する機体については、事前に受験者にお伝えする予定。
つまり自動車運転免許で言うところの教習所に通わなくても一発試験制度もありますよ。高いと思うなら一発試験でどうぞ。ということですね。もちろんドローンの操縦経験が無くて一発試験に行くのは絶対にオススメしません。ドローンスクールに行くべきだと思います。
既に一度ドローンスクールに通っていて、既に多くの飛行経験がある人にとっては一発試験は考えても良い試験制度ですよね。
そして試験の配点については次のような回答がありました。
実技試験の基礎配点を教えて欲しい
- 【意見概要】机上試験、口述試験(飛行前点検)、実技試験、口述試験(飛行後の点検及び記録)、口述試験(事故、重大インシデントの報告及びその対応)の基礎配点を教えて欲しい
- 【回答概要】5種類のパートを全て合わせて100点満点とする。それぞれでは100点ではない。減点数については、現在検討中。通達を公布する際に減点数を示すほか、指定試験機関の開催する修了審査員研修でも示す予定
試験内容に不明点がある
- 【意見概要】試験内容を拝見したが、時間制限など詳細不明点がある。模範演技と留意点などの説明動画を希望する
- 【回答概要】実技試験の実演に関する説明動画の作成を含めて周知方法については無人航空機操縦者技能証明申請者が容易に理解できるような方法を引き続き検討する
ということで、指定機関で直接一発試験を受けることは可能であり、実技に関して申請者が事前に理解できるような方法も検討するとの回答でした。
ただ、それと同時に登録講習機関で講習を受講することで、より効率的かつ確実な操縦能力が身につくと考えているという回答もあり、ドローンスクールで確実な操縦技術を身に着けてほしいという思いもあるように感じました。
確かにこれからドローンを始めようと思う方は、何かしらの形でドローンの操縦や危険性、安全管理について徹底的にしっかり学んだ方が良いと思います。
安全確認項目も非常に大きなポイント
民間ドローンスクール卒業した方々の中には、既に相当な経験をお持ちのパイロットもいるかと思います。そういった方々が減免されるとはいえ、再度ドローンスクールで学び実技免除という道を選ぶのかなぁという疑問はあります。金額にもよると思いますが・・・。
ただ、技術の点もさることながら、重要視されるのは安全面のチェックがしっかり出来ているか?という点でしょうね。安全に飛行させるというのは全てに優先して、非常に大事なポイントですから。
- 飛行前点検
- 飛行後の点検及び記録
- 事故、重大インシデントの報告及びその対応
この3つがしっかり出来るかどうかが一発試験に受かるかどうかの肝のような気がします。自動車運転免許も運転技術だけでなく安全点検がしっかり出来ているのかどうかが非常に大きいですからね。
スクールに通わずに、この口述試験をどうマスターできるかどうか。口述試験のポイントを公開してくれるのかどうか気になるところですね。
既に公開されている試験内容である「二等無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」に安全点検の例は出ていますが、実際にどういった流れでどう行うのか動画等の解説があればありがたいですね。
まだ他にもご紹介したい意見と回答がありますので次に続きます。
指定期間試験会場(2022年12月現在)
今後指定試験機関の受験会場を順次増えていくと思いますが、現在受験できる会場をご紹介しておきます。
- 【北海道】江別市都市と農村の交流センター「えみくる」
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〒067-0056 北海道江別市美原1445番地
アクセス
電車:JR函館本線「江別駅」から車で約10分 - 【福島県】磐梯熱海スポーツパーク
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〒963-1302 福島県郡山市熱海町高玉字南泥布沢2-7
アクセス
車:磐越自動車道磐梯熱海ICより車で5分
徒歩:磐越西線磐梯熱海駅より徒歩15分 - 【埼玉県】東武鉄道総合教育訓練センター競技館
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〒349-1117 埼玉県久喜市南栗橋2丁目20-1
アクセス
電車:東武鉄道日光線 「南栗橋駅」より徒歩10 分 - 【千葉県】日本海事協会研究センター
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〒267-0056 千葉県千葉市緑区大野台1-8-3
アクセス
車:JR外房線「土気駅」より車で約15分
バス:土気駅(南口)発「土気工業団地線」乗車 「日本海事協会入口」下車徒歩5分 - 【山梨県】小瀬スポーツ公園
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アクセス
電車;JR中央線甲府駅下車 南口よりタクシーで約20分・JR中央線甲府駅からJR身延線乗換 南甲府駅下車 タクシーで約10分 - 【愛知県】とよはし産業人材育成センター
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〒441-8077 愛知県豊橋市神野新田町シノ割1-3
アクセス
電車:JR利用・豊橋駅西口(新幹線側)から自動車で約15分。 - 【京都府】京都府立山城勤労者福祉会館
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〒610-0302 京都府綴喜郡井手町大字井手小字大塚99-35
アクセス
電車:JR奈良線「玉水」駅から 徒歩15分 - 【広島県】府中市立総合体育館(TTCアリーナ)
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〒726-0021 広島県府中市土生町416番地4
アクセス
電車:JR福塩線 府中駅下車タクシーで約5分 徒歩で約25分(約1.9㎞) - 【愛媛県】東温市ツインドーム重信
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〒791-0205 愛媛県東温市西岡甲1367番地1
アクセス
電車:伊予鉄道横河原線 松山市駅発 乗車28分 「愛大医学部南口」下車 徒歩25分 - 【福岡県】福岡県立スポーツ科学情報センター(アクシオン福岡)
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〒812-0852 福岡市博多区東平尾公園2丁目1番4号
アクセス
車:JR博多駅から約20分
参考資料:https://ua-remote-pilot-exam.com/wp/wp-content/uploads/2022/12/試験会場候補地一覧-Ver.2.pdf
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