ドローン国家試験の学科問題!公式サンプルが公開(国家資格)

今回は、国家資格のドローン免許である一等、二等無人航空機操縦士の学科試験に関しての話題になります。

民間のドローンスクールに通って実技試験を受けるにしても直接指定機関の試験場で一発試験を受けるにしても、絶対に避けて通れないのが学科試験です。
先日、二等の学科試験を受けてきましたが、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 」第2版を読み込んで理解しておけば合格できると思います。私も「無人航空機の飛行の安全に関する教則 」第2版にマーカーでアンダーライン引いて勉強して合格しました。
まだ模擬問題集などの書籍は出ていないので、教則を徹底的に理解するのが合格への一番の早道だと思います。

二等試験は50問で30分。私は間違えないように丁寧に問題を解いていたら、途中から全然時間が足りないことに気が付きました。30問解いた時点で残り時間が10分!残り10分で20問を解かないとヤバイ!と焦りました。
最初から30秒以内で1問解くつもりで進めたほうが良いです。結構サクサク回答しないとタイムオーバーで不合格なんてことになりかねません。30秒で1問解いても、残り時間は5分しかありません。見直しに時間をかけたいなら20秒ぐらいで1問解いたほうが良かったなと後で感じました。

もくじ

ドローン国家資格の学科試験概要

学科試験の概要ですが以下のようになっています。

  • <実施方法>全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT (Computer Based Testing)
  • <形式>三肢択一式
    • 一等:70問
    • 二等:50問
  • <試験時間>
    • 一等:75分  
    • 二等:30分
  • <試験科目>無人航空機に関する規則、無人航空機のシステム無人航空機の操縦者及び運航体制、運航上のリスク管理
  • <有効期間>合格後2年間
  • <受験料>
    • 一等学科試験 9,900円
    • 二等学科試験 8,800円

二等無人航空機操縦士では合格には80%程度の正答率が必要だといわれています。一等無人航空機操縦士の合格に必要な正答率はまだ発表されていません。

すでにドローン免許の教則が公開されていますので、一等ライセンスや二等ライセンスの学科試験を受けるなら絶対に読んでおくことをオススメします。これを基に試験内容が作成されるはずですから。二等ライセンスに関しては教則を読み込んでおけば大丈夫でした。

全部で70ページほどありますが、既に独学で勉強してドローンを飛ばしている人や、民間ドローンスクールの資格を取得している人にとっては、聞いたことのある内容でしょうから、それほど難しい内容ではありません。試験前に一度目を通しておくことをオススメします。
初版には1等のサンプル問題が解ける計算式は書かれていませんから、最新の2版を活用しましょう。

さて、ドローン免許を取得するには、「身体検査」+「学科試験」+「実地試験」をクリアする必要がありますね。
身体検査は1等ライセンスの25キロ限定解除以外であれば、運転免許等の提出で省略することが可能です。
実地試験に関しては、スクールへ行けば免除されますが、学科試験に関しては必ず受験する必要があります。

ということで、ドローン免許の学科試験内容が気になっている方も多いのでは?と思いますが、つい先日、国交省からサンプル問題が公開されましたのでご紹介します。リンクは最後の参考資料に貼っておきます。

操縦ライセンス制度学科試験(二等)サンプル問題

WS000009_20220916222220191.jpg

二等学科試験[サンプル問題1]

無人航空機操縦者技能証明及び機体認証を受けていない場合であっても航空法に基づく国の飛行の許可又は承認が不要な飛行として、正しいものを1つ選びなさい。

a.日没後の飛行
b.イベント上空での飛行
c.人口集中地区に該当しない地域での高度150m未満の飛行


<正答 C>

サンプル問題1は許可承認に関してになります。日没後やイベント上空であれば承認が必要ですが、DIDに該当せず高度150m未満であれば許可も承認も要りませんからね。ただこの場合でも目視外であったり人や物件と30mの距離が保てないであれば承認は必要ですが、そこは特段書かれていないですから正答はCになりますね。

二等学科試験[サンプル問題2]

夜間飛行を行う場合に機体に求められる装備として、正しいものを1つ選びなさい。(飛行範囲が照明等で十分に照らされていないものとする。)

a. 飛行時に機体を認識しやすい塗色
b. 障害物との衝突防止のための赤外線センサ
c. 機体の姿勢及び方向が正確に視認できる灯火


<正答 C>

サンプル問題2は夜間飛行に関しての知識を問われる問題になっています。夜間飛行に関しては教則にも、夜間飛行のために必要な装備として「無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できる灯火を有することが求められる。」と書かれています。ですので正答はCになりますね。機体を認識しやすい色で塗っていても夜間であれば見えませんしね。センサーは近くに物件があれば役に立ちますが、夜間飛行において灯火以上に最優先されるものではありませんよね。

二等学科試験[サンプル問題3]

無人航空機の操縦者に課せられる義務として、誤っているものを1つ選びなさい。

a. 飛行前に外部点検と作動点検により機体の状況を確認する。
b. 事故による機体の損壊や紛失に備えて、機体保険に加入する。
c. 事故時は、負傷者の救護等、危険を防止するための措置を取る。


<正答 b>

サンプル問題3は操縦者の義務について問われています。誤りを答えさせる問題です。保険に関しては義務ではなく推奨されていますから、「義務」かどうかを聞かれている場合はbが正答になりますね。義務ではありませんから。ただ実際にはドローンの飛行に関しては第三者に損害を与えることが想定されますから賠償責任に関しての保険に加入していなければ怖くて飛ばせないですよね。
カテゴリーIII飛行の場合には、飛行の内容に応じた保険に加入していることが推奨されていて、おそらく保険に加入していないと飛行の許可がほぼ降りないのでは?と思います。

二等学科試験[サンプル問題4]

気象が無人航空機の飛行に及ぼす影響の説明として、正しいものを1つ選びなさい。

a. 低温時はバッテリー性能が低下する。
b. アスファルトの地表面が暖められると下降気流が発生し機体が減速する。
c. 高温時は空気密度が増加し飛行性能が向上する。


<正答 a>

サンプル問題4に関しては飛行に及ぼす影響としていくつかの例を明示され正しいものを1つ選び出す問題になっています。
これは低温時にバッテリーは確実に性能が低下するので正答はaで間違いないですね。冬の飛行に関しては特にバッテリー温度に気をつけて皆さん飛ばしますからね。バッテリーを温めずに飛ばすなどありえない危険行為ですから即答かと思います。
他の選択肢もよく考えれば逆のことが書いてあります。地表面が温めれれれば上昇気流が発生しますし、気温などが高温になれば空気の密度は減りますので飛行性能は低下します。真夏のヘリでのフライトは気を使うようですしね。あまりに気温が高温の場合にはフライトを止める場合もあると聞いたことがあります。

操縦ライセンス制度学科試験(一等)サンプル問題

一等学科試験[サンプル問題1]

飛行機が、飛行速度25m/s 、バンク角30°で定常旋回した時の旋回半径として、正しいものを1つ選びなさい。ただし、重力加速度は9.8m/s2、tan30°= 0.58とする。電卓が使用可能である。

a. 105m
b. 110m
c. 115m


<正答 b>

一等のサンプル問題は最初から計算問題です。二等とは違うよ!と印象付けられますね。こういった計算問題は無線の試験でも数問は必ず出ますから、ドローンの試験でも一等に関しては数問の計算問題が出るのは確実ですね。
さて、今回問いかけれられているのは、旋回半径。
「無人航空機の飛行の安全に関する教則第2版」4.3.5 (2)の部分に計算式が書かれています。

この式に当てはめると、以下のようになります。
旋回半径(r)=(25×25)÷(9.8×tan30°)=109.957776m

今回「tan30°」は0.58と書かれていますから上の式のtan30°は0.58で計算しています。
109.9に最も近いのはbの110mですから、正答はbになりますね。
こうした計算式は教則に複数掲載されていますから、一応覚えておかないと点数取れなそうです。

一等学科試験[サンプル問題2]

使用周波数が2.4GHz、送信側と受信側の距離が1,400mの場合のフレネルゾーン半径の60%の値(m)として、次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。ただし、光速は3×10⁸m/sとし、√2=1.41、√3=1.73、√5=2.24、√7=2.65を用いてもよい。電卓が使用可能である。

a.4.0m
b.4.5m
c.5.0m


<正答> a

こんどは随分と面倒な計算が必要な問題になっています。第二級陸上特殊無線技士の資格は持っていますが、無線の試験でもこれは出ませんでした。一級とかなら出るのかも知れませんが。
さて、こちらも「無人航空機の飛行の安全に関する教則第2版」の4.5.1 (6)に計算式が掲載されています。

この計算式に当てはめる前に、最初に波長(λ)を求める必要がありますね。
波長=波の速さ÷周波数
この計算式に当てはめると以下のようになります。
波長(λ)=(3×10⁸)÷(2.4×10⁹)
これを計算すると↓
波長(λ)=300,000,000÷2,400,000,000=0.125

波長が出たところで、やっと次にフレネルゾーンの半径Rを求めることになります。
この教則の以下の式が参考になります。

上の式に先ほど求めた波長と問題に書かれている1400mを当てはめると

√0.125×1400/4≒6.61
となります。

最後に60%の値を求めるので0.6をかけて
6.61×0.6=3.96

ということで、最も近い「a」の4.0mが答えになりますね。
私は文系なので、書き方や考え方が間違ってたらごめんなさい!教則の計算式に当てはめると、こんな感じになるかと。

一等学科試験[サンプル問題3]

以下の無人航空機の運航形態におけるリスク評価の考え方として、次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
〔運航形態〕
エンジンで駆動する回転翼航空機(ヘリコプター)を使用して、山間部の資材運搬のための飛行を行うものとする。飛行経路直下に民家はなく、歩道を横断する。昼間、目視外、高度150m以下の飛行であり、立入管理措置を講じないものとする。

a.航空機との接近はジオフェンス機能を用いることにより防止できる。
b.歩行者が歩道を横断する際のリスク軽減としては、機体に設置されたカメラにより歩行者の状況を確認し、速やかに機体の道路横断を中止できるようにするなどの措置を講ずる。
c.山間部で飛行経路下に第三者が存在する可能性は低いことから、緊急着陸は任意の地点に速やかに行う飛行計画とする。


<正答> b

計算問題が続いたためか、突然簡単な問題に見えてきて拍子抜けします。aはジオフェンス機能と航空機との接近を防ぐものではありませんから明らかに間違えですし、cは歩道を横断すると設問に書いてあるのにも関わらず第三者が存在する可能性は低いと書かれているので、その時点で無しですよね。消去法で考えればbしか残りませんね。

合格するために勉強した内容

最初に書いたこととカブる部分もありますが、とにかく教則を読み込むことが一番大事だと思います。
そして1問20秒~30秒で回答できるように意識したほうが良いと思います。30秒で全て解いたとしても見返しの時間が5分しか残りませんから。
問題は章立てや項目に分かれること無く二等試験の場合は一気に50問を解くことになります。順番は教則に書かれている通りとは限りませんので、どの問題から出されても即答出来るようにしておくことが大事です。

「正しいものを選ぶ」「誤っているものを選ぶ」「適切なものを選ぶ」といった出題が多いですので、正しいもの、誤っているものを見間違えるケアレスミスが無いようにしましょう。

そこまで引っ掛け要素がある問題は私が受験したときにはありませんでした。聞いたことのない内容が回答欄に書かれている問題もありましたが、正確に教則を理解していれば、正答が見つかります。一瞬、知らない内容が回答に書かれているときには「うわぁ」と焦りますが、全て回答を読めば、正しい正答が見つかるはずです。

ただ、お恥ずかしながら無線関連問題はちょっと間違ったかも。第二級陸上特殊無線技士とアマチュア無線の免許を持っている割には無線の理解が弱かったなぁと反省しています。

実際に出た問題ですが、例えば、ラダーの問題では、回転(ラダー)する場合に、向きたい方向と同じ方向に回っているプロベラの回転速度を上げるのか、下げるのかを問われる問題とかが出ました。
教則には「揚力を得ている状態で、右もしくは左回転を指示すると、指示した回転方向のローターの回転数が下がりトルクバランスが崩れ回転が始まる」と書かれています。教則をしっかり読み込んでおけば答えられる内容ですね。
教則の言葉がそのまま出るわけでは無いので、ある程度内容を理解しておく必要はありました。

ポイントだけを箇条書きにして最後に確認

「無人航空機の飛行の安全に関する教則 」を一通り読んで頭に入れたら、試験直前に確認できるようにポイントだけを箇条書きで書いておきました。
試験前にサッと読めるようにしておけば完璧かと。勉強が得意な方々にとっては、難しい試験ではないと思いますが、私は自信が無いのでまとめておきました。
どんな感じのまとめなのか一部分だけ公開しておきます。全てを公開しても全然良いのですが、私だけに分かるように書いている部分も非常に多くて、誤解を生む場合や参考にならない場合もあるので、ごく一部だけにしておきます。

ポイントだけを箇条書きでまとめた一部分 (サンプル)

技能証明の有効期限

  • 3年
    • 更新講習を申請する日の3月以内に修了し、有効期限満了日の6月以内に国土交通大臣に対し更新を申請

技能証明の資格要件(申請できないもの)

  • 16歳未満
  • 技能証明を拒否された日から1年以内
  • 技能証明の取り消しから2年以内

機体認証

  • 第一種の有効期限は1年
  • 第二種の有効期限は3年

無人航空機の登録

  • 登録の有効期間は3年

飛行日誌(特定飛行の場合)

  • 遅滞なく飛行日誌に記載
  • 飛行日誌を携帯することが義務

飛行申請

  • 飛行開始予定日の10開庁日前までに所定の提出先に提出する
  • 申請先
    • 東京航空局
    • 大阪航空局
    • 公海上のみの場合は国交省本省
  • 150m超飛行の申請先
    • 東京空港事務所 新潟県、長野県、静岡県から東
    • 関西空港事務所  富山県、岐阜県、愛知県から西

登録記号の表示

  • 25㎏以上は25mm以上
  • 25㎏以下は3mm以上

リモートID

  • 静的情報(製造番号、登録記号
  • 動的情報(位置、速度、高度、時刻
  • 1秒間に1回以上発信

150m以上の例外

  • 建造物から30m以内の空域は除外

特定飛行の例外

  • 30m以下で係留する

罰則

  • 2年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 事故で救護しない等
  • 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
    • 無登録で飛行させたとき
  • 1年以下の懲役または30万円以下の罰金
    • アルコール、薬物使用のとき
  • 50万円以下の罰金
    • 登録記号非表示、リモートIDなし
    • 飛行前確認なし
    • 他人に迷惑な飛行
    • 使用条件の範囲外
  • 30万円以下の罰
    • 飛行計画の通報なし
    • 事故の報告なし、虚偽報告
  • 10万円以下の罰金
    • 技能証明の非携帯
    • 飛行日誌の非携帯
    • 飛行日誌の未記入、虚偽記載

合格すると学科試験合格証明番号が発行される

試験後、合否の判定は即日分かります。
テストを行っているプロメトリックよりスコアレポートの案内が試験終了後にすぐに届きます。私は試験終了後にすぐに【プロメトリック】スコアレポートの案内という題名のメールが届きました。

メールには合否確認用のWebサイトリンクと共に「スコアレポートコード」が書かれています。リンク先にて苗字とスコアレポートコードを打ち込むと結果が表示されます。

その数日後、日本海事協会の無人航空機操縦士試験申し込みシステムからメールが届き正式な受験結果を確認することが出来ます。合格した場合には学科試験合格証明番号が発行がされていて、有効期間が2年間になっています。

試験直後に見られるスコアレポートの案内後日確認する正式な受験結果
試験終了後にすぐにメールで送られてくるURLをクリックすると確認できる【プロメトリック】スコアレポートの案内になります。合格とは書かれておらず合格基準点以上と表現されています。
無人航空機操縦士試験申し込みシステムから送られてくるメールで確認する正式な合否結果です。
学科試験合格証明番号が発行されています。有効期間は2年間となっており、合格日より2年間は実技試験が受験できるようになります。

参考資料など

ということで、1,2等ライセンスに関して数問のサンプル問題が公開されたので個人的なメモを含めてご紹介してみました。
サンプル問題だけ見ると二等はそれほど難しくはなさそうですが、最初に書いたように30分しか時間がないので気を抜くと失敗するかもしれません。しっかり勉強して1問20秒以内でサクサク答えられるように頑張りましょう。

国交省が公開したPDFに関しては以下にリンクを貼っておきますのでご確認ください。
1等ライセンスに関しては数式に関しては、かなり面倒な計算が必要な問題が出そうですね。覚える必要がありそうです。
合格したら2年の有効期限がありますから、試験が始まったら2等も1等も2つとも一気に受験するなんて手もあるかも。

どうやって学科試験を受ければ良いのかという点で躓いていらっしゃる方もいるようです。
その場合は参考資料にリンクを貼った、【無人航空機操縦士試験申込システム操作マニュアル】を御覧ください。非常に詳しく丁寧に学科試験の受験方法、実地試験の受験方法などが書かれています。こちらが一番参考になると思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
Gender : man 
My job : Photographer,Drone Pilot

CERTIFICATION
アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
d.bibouroku@gmail.com

コメント

コメントする

もくじ