DJIのMAVIC 2 PROをメイン機体として空撮を行っていますが、私がドローンを飛ばすまでに行っている安全チェックについて書いておこうと思います。
MAVIC 2 PROに関する記述もありますが、基本的な安全チェック項目はどのドローンでも共通している箇所が多いかと思います。ですので、他の機体を使用して飛ばしている方にも参考にもなれば幸いです。
今回書いたのは機体の準備~フライトするまでの一連の流れになります。安全に飛行させるためには離陸前に数多くのチェックするべき項目があります。それらを確認していければと思っています。
1、ドローンの機体チェック(機体に電源を入れる前に確認)
プロペラガードの割れチェック
軽い衝突などでも割れることがあります。
バックに無理やり入れて割れることも。軽いヒビ程度だと見た目で分かりにくいこともありますから、軽くテンションをかけて割れていないか確認しています。
DID地区や人・物との距離が30m以内での飛行、そしてイベント上空ではプロペラガードを装着することになるかと思います。
プロペラガードは不測の事態の際に重要な部品であり、安全性に直結するものですから慎重にチェックしています。
プロペラのキズ等のチェック
プロペラは50時間程度の飛行で交換するようにしています。離着陸時に周囲の草や石などにこする場合もあります。やはり離着陸地点の選定が大事ですね。
プロペラのキズの程度によりますが、プロペラの根元部分から折れて墜落する事例などありますから、交換時間に達していない場合であっても負荷がかかっていると思われる時には交換しています。
プロペラを手動回転させ異音、ザラつきのチェック
まずはプロペラをしっかりと機体に装着します。完璧にロックがかかっているか確認。ロックが不完全な状態で飛ばしたことはありませんが、恐らく飛び出す前にプロペラが吹っ飛ぶか離陸中に外れて墜落するか・・・。考えただけでも怖いですね。
完璧に装着した上で手でプロペラを回して異常がないか確認します。
モーター内に極微細な砂などが入ることもあるようです。私は経験ないですが砂などが入り込んだ際には手動でプロペラを回すと異音などを感じることがあるようです。
飛行ごとにブロアーでエアーを当てて小さい異物は吹き飛ばすようにしています。
撮影現場まで飛行機移動の場合はガスのブロアーを持ち込めないので手動式のブロアーでモーター内に入った異物は取るようにしています。
砂浜で離着陸する際などはランディングパッド(ヘリパッド)を使うようにし、なるべく砂などが入らないように対策しています。
一般的なブロアーでゴミが取れない場合、業務用のコンプレッサーを使って強力な風量で吹き飛ばす方もいらっしゃるようです。
ガソリンスタンドのエアーガンを使用したという方の話も読んだことがあります。もしも試される方はガソリンスタンドの定員さんに聞いて問題無さそうであれば試してみても良いかもしれませんね。
カメラジンバル
電源を入れた後にジンバルの動きはチェックしますが、電源を入れる前にとりあえず手でジンバルを軽く動かしスムーズに動くかのチェックをしています。
その際にカメラのレンズ面が汚れていないかもチェック。もしも指紋等が付いていればレンズペーパーで軽く吹いて綺麗にしておきます。
撮影画像に直結しますからね。
ネジ類の緩み
機体の底面に複数のネジがありますので、ネジが緩んでいないか、無くなっているネジは無いかなど飛行前日と離陸前にチェックしています。特殊なネジのようで、緩んでいてもその場で締めなおすのは難しいのかなぁと思います。
機体は半年ごとにメーカー点検出していますので、その際に気になるネジがある場合はその旨を添付して送るようにしています。
スマホコードチェック
標準プロポの場合はスマートフォン(iPhone)をモニタとして使用しています。プロポと接続するケーブルがしっかり装着されているかをチェックすることも忘れないようにしています。
装着が不完全であれば飛行途中で外れてしまう可能性もありますからね。
iPhoneとアンドロイド端末ではコネクタ端子の形が違うので、もしもiPhoneが使えない場合に備えてアンドロイド端末でも使えるように予備の端子も準備しています。
本来であればiPhone用の予備ケーブルもあった方が良いですね。書いていて気が付きました。
バッテリーNo、膨らみ等の確認
どのバッテリーを使用し飛行するのか、飛行ごとにチェックしています。
バッテリーの減り方に異常が感じられる場合は、そのバッテリーはすぐに使用禁止に。異常を感じたときに、どのバッテリーなのか最初にチェックしておけばエラーバッテリーを間違えることも無くなりますしね。
またバッテリーの膨らみの最終確認もここで行います。もちろん現場へ行く前の機材チェックの際にバッテリーの膨らみは確認しておきますが、機体装着ときに最終チェックを行います。
夏場などはバッテリーが膨らみやすいですし、膨らんだバッテリーで飛行を行えば最悪の場合、バッテリーが機体から外れて墜落します。
YouTube等の動画サイトでも夏場の飛行でバッテリーの膨張が原因で墜落してしまったドローンの影像等を見ることが出来ます。
バッテリーの容量やセル電圧チェックは機体の電源を入れてからチェックしますので、この時点ではバッテリーNoのチェックと膨らみ等のチェックのみを行います。
2、現地の気象状況をチェック
天気
気象に関しては現地で最終チェックを行いチェックシートに記録しています。後々役に立ちますし、飛行記録しても残しておく必要があります。
気温
気温に関してもバッテリーに直接的な影響が出てきますのでチェックシートに記入し記録しています。
気温の低い時にはバッテリー温度を上げておかないと離陸すら出来ませんし危険です。外気温が氷点下であってもバッテリーは25℃以上にしてから本番飛行をするようにしています。
20℃ぐらいまで温めてから機体に装着し25℃になるまでホバリングするという手もありますが、なるべくなら装着時に25℃ぐらいまで温めたいところ。ただ20℃を超えていればホバリングで25℃まで温めることも多いです。
私は待機しているバッテリーをレンズヒーターなどを使用してを温めています。本当に寒い時期は一つのレンズヒーターでは温度が上がらず2本のレンズヒーターを1つのバッテリーに付けることもあります。
近場ならばレンジでチンして温めるカイロを使用したりもします。待機中のバッテリーを腹に挟んで温めるという方法もありますね。冬季の撮影でカメラのバッテリーはこの方法で私は温めたりしています。
温めて飛ばせは事故の可能性は減らせると思いますが、業務で無ければ冬季はなるべく飛行させたくないですね。
風向
ドローンにとって風速だけでなく風向もチェックしておくことが必須ですよね。
基本は風下から風上へ向かって飛ばすことが安全です。そこまで風が強くなければ気にする必要はありませんが、風が強い場合は風上へ向かって飛ばすことが事故予防になります。
万が一思ったよりも風が強い場合、機体が風下へ向かって流されていきます。風下から風上へ向けて飛ばしていれば、流されてしまっても離陸地点へ向かって戻ってくるように流されてくることになるので、緊急着陸などの操作がし易くなります。
基本は風上へ向かって飛ばす。これを覚えているだけでも事故の可能性を減らせるかと。
風速が早い場合は飛ばさないことが一番の事故予防ですが。
風速(1分平均)
航空局の標準マニュアルではドローンの飛行は風速5m/s以上での飛行は出来ないことになっています。ですので、飛行毎に風速を計測する必要があります。
私は小型の風速計で約1分ほど計測し、おおよその平均値と最大値を記録するようにしています。
風速(最大値)
約1分間計測している中での最大値を記録。
私は独自マニュアルで風速10m/sまでは飛ばせるように変更していますが、それでも地上で風速8~9m/sを超えていれば上空の風速は10m/sを超えている可能性が非常に高いので飛行は取りやめています。
天気予報を見て風が収まりそうな場合は、しばらく風が落ち着くまで待機し、約1分間の計測で最大値が問題無くなったら飛行させています。
3、飛行ルート上の障害物等のチェック
電線や高圧鉄塔、樹木などドローン飛行の際に障害物となるような対象物が無いかどうか飛行前に目視や双眼鏡等を使って確認するようにしています。
飛行ルートを歩いて回れる場合は直接見ておいた方が良いですね。
樹木に衝突するケースなどは非常に多いので、目視で確認することにプラスして飛行ルート上、どのあたりが最も危険なのかシミュレーションしておくことが大事だと思っています。
特にノーズインサークル中にドローンの側面を樹木に当てることがケースとして多いように思います。ノーズインサークルで側面に樹木が近づいてきてもドローンのセンサーは基本的には役に立ちません。
MAVIC2PROの場合は側面にもセンサーが付いていますが、Tモードでなければ側面センサーは効きませんから。Pモードでノーズインサークルしてたらアウト。いつでもTモードで飛行させる訳にもいきませんから、事前に危険性を確認してシミュレーションしておくことが大事ですね。
4、機体の電源をONにし、機体の状態をチェック
最新版のソフトウェアへの更新
機体やDJI GO 4アプリ、安全飛行データーベースの最新版への更新はフライトの前日に最終チェックを行うようにしています。ソフトウェアの更新が行われていない状況では基本的に離陸すること出来ません。最新版以外では飛行出来ませんので安全なんですが、逆に言えば最新版へ更新しておかなければ現地で飛行出来ませんので事前にチェックしておくことが必須になります。
現場へ行って飛行させようとしたら離陸すら出来ない!なんてことの無いように気を付けています。
コンパスキャリブレーション
機体のコンパスがズレている場合はDJI GO4アプリ上にコンパスキャリブレーションを行うように指示が出てきます。
毎回出るわけではありませんが、出る頻度は結構多いです。コンパスが正確でない状態で飛行させるのは非常に危険ですからアプリがしっかりと教えてくれます。
コンパスエラーが出ていなくても心配な場合は毎回キャリブレーションするのは精神衛生上良いかと思います。
あとは、離着陸地点を変えてみるのも手です。周りにコンパスを狂わせる何かがある可能性がありますので、近くに何も無い場所を改めて探してコンパスエラーが出ない場所を離陸地点にする手もあります。
センサー設定確認
障害物センサー、着陸時センサー、下方ビジョンなどのセンサー設定は離陸前に必ず確認しています。あえて障害物センサーや下方ビジョンをOFFにすることもありますし、全てのセンサーをONにしておくこともあります。
撮影ごとにセンサーの設定は違うと思います。
前回の撮影でセンサーをオフしてて、気が付かずにフライトさせてしまったら事故の元です。必ず撮影ごとにチェックするようにしています。
また、過去の撮影を振り返った際に、当時はどう設定したのか確認する意味でも記録として残しています。
障害物センサーは非常に素晴らしいセンサーなのですが、優秀であるがゆえに邪魔になることもあります。
たとえば、狭い場所で撮影する場合はセンサーがあることで、行きたい場所へ移動することが不可能な場合もありますし、超低空飛行から急上昇するようなカットを撮影する場合も後方センサーがあることで機体が急停止してしまったりします。
基本設定ではセンサーを全てONにすることにしていますが、飛行内容によってセンサーの一部もしくは全てをOFFにすることがあります。
事前のシミレーションでONOFF設定を決めておき、センサーの状況を頭に入れて飛行させるようにしています。
手から離着陸するキャッチアンドリリースの場合は着陸時センサーをOFFにする方もいるかと思いますが、キャッチアンドリリースだけの場合、私はセンサーを逆にONにしています。手に着陸させる際にタイミングを逸するとドローンが上空に逃げることがありますが、それでもスロットルを下げ続ければ手のひらを地面と認識し、ゆっくりと着陸動作を始めます。かなりゆっくりと下がってくるので、着陸時センサーをOFFにしておくよりも、こちらの方が安全かなと考えています。
あまり経験しない事例かも知れませんが、飛行中に霧が出てきて着陸させようと下降動作に入った際、着陸時センサーが誤作動し下降しにくい場合などもありました。いくらスロットルを下に下げても下がってこない・・・。
その際には慌てず冷静に着陸時センサーをOFFにして再度着陸動作へ。センサーは非常に便利で優秀ですが、反対に優秀であるがゆえにセンサーが反応することで自分の思っている挙動ではない動きをすることもあります。
上手に使い分けていければと考えています。
操縦モード確認(私はモード2を使用)
操縦モードの確認も忘れずに行っています。常にモード2で操縦していますので、モードを変更することは無いのですが、一応念のためにモード2になっているか最初に確認することにしています。
もしも複数でプロポを運用していて、操作する人によってモードが違う場合などはモードチェックは必須ですね。
動作(フライト)モード確認( S / P / T / Aなど )
ファントムやMAVIC2などはフライトモードを変更することが可能です。機体によってATTIモードが付いていなかったりして切り替えられるモードに違いはありますが、動作モード切り替えスイッチがある場合はフライト前に確認する必要がありますね。
フライトモードには、Sモードと呼ばれるスポーツモード、Pモードと呼ばれるポジショニングモード、Tモードと呼ばれるトライポッドモード、そしてAモードと呼ばれるATTIモードなどがあります。
Pモードで飛ばしているつもりだったのに実際にはSモードだったりAモードだったりしたら事故の確率は格段にあがります。もちろん操縦途中に普通であれば気が付くと思いますが、飛ばしていて自分が思っている挙動と違う挙動をした際にパニックになる可能性もあります。
操縦中にパニックになるのは最も危険ですので、最初からモードの確認をしておくのは必須かと思います。
MAVIC2やファイントムなどはソフト内でのスイッチではなく物理的なスイッチとして配置されていますので、機体の運搬中にスイッチが切り替わってしまっている可能性もゼロではないと思います。
切り替わりやすいスイッチですので、忘れずにフライト前にチェックするようにしています。
フェイルセーフ設定確認
フェイルセーフで重要なのはRTHと略されるリターントゥホームを行った際にどのような挙動をするかの設定です。
MAVIC2での設定は3種類
- リターントゥホーム
- 着陸
- ホバリング
この設定は非常に重要です。
基本的にRTH(リターントゥホーム)では文字通り離陸地点もしくは操縦者の元へ戻ることになっていますが、設定を変えることで「その場で着陸」や「その場でホバリング」に変更することが可能になります。
ひとつの機体を複数人で使用している際などは設定が変更されている可能性もありますよね。危険を感じてRTH作業をしてホームへ戻そうと思ったらその場で着陸してしまったなどの事故が起きたら大変です。
またセンサーが捕捉しにくい障害物が多い場所でもリターントゥホームは危険だったりします。電線などはセンサーが感知しにくいですから自動操縦で戻ってくる際に接触して墜落などがありえます。
そういった場所ではリターントゥホームではなく「ホバリング」設定の方が安心だと思います。
ただリターントゥホーム高度設定で高度を高く設定することで危険性を回避できる現場もありますから、設定は現場ごとに都度確認して決めるしか無いですね。
また、フェイルセーフでリターントゥホームに設定をした場合は、かならず高度設定値(20m~500m)を確認しておくようにしています。
撮影現場ごとに最も安全に戻すことが可能な設定値を想定して入力しています。高度を上げれば安全性が高まるように感じるかもしれませんが、高度を上げた場合は風速が早くなる可能性や、航空法違反になる可能性も出てきます。また高度を上げれば上げるほどバッテリーを消耗することも予測しておかなければいけませんね。
また、離陸時にGNSSが正確に捕捉できない状況下でリターントゥホーム設定にしてしまうと、全く違う場所へ機体が戻るケースもあります。GNSSが捕捉しにくい場所ではホバリングも難しいでしょうが、リターントゥホームはもっと予測不能な挙動をする可能性が高いです。GNSSが捕捉できないような場所ではリスクが非常に高いということを認識した上で飛ばすようにしています。
ジオフェンス設定確認
ジオフェンスとはGNSS等を使った位置情報による仮想的な境界線ですが、ジオフェンスを設定しておくことで、ドローンが仮想的な境界線であるジオフェンス外に出ることを一定程度防ぐことが出来ます。
高度と距離を設定することで円柱状のジオフェンスが出来上がり、想定外の高度や距離を越えて進むことを防いでくれます。
注意点としては、ジオフェンスは絶対的なフェンスではありませんので、フェンス外に機体が出てしまうことがあります。
GNSSが捕捉できる状態でジオフェンス外に出てしまった場合、アラームの警告後に自動降下を始めますので、ジオフェンスを設定しておけば完全。というわけではありません。
ただジオフェンスの設定は一定の安心感があります。
高度と位置に関しては目視にプラスしてDJI GO4アプリ画面にあるフライトテレメトリ情報などをチェックしながら飛行させます。ジオフェンスを過信しすぎないようにすることが大事ですね。
GNSS受信状態
GPSや GLONASSなどの衛星測位システムをどの程度捕捉しているのかを確認をしています。
複数の衛星から電波を受信して三角測量の手法から正しい位置情報をみちびきだすことで、フライトの安全性が劇的に向上しています。
GNSSを活用することでドローンの操縦は本当に安定しますよね。
最低3つの衛星から情報がとれていれば現在地の計算は出来るようですが、DJIのMAVIC2の場合、最低でも8つの衛星からの情報が取得できなければ飛行は安定しません。
つまりPモード(ポジショニングモード)等は使用できません。
衛星の捕捉数が7個以下の場合は強制的にATTIモード、もしくはOPTIモードに切り替わってしまします。
ドローンを安定させるには衛星3つの情報では不足なのですね。
つまりGNSS捕捉個数のチェックは非常に重要だということです。
周りを高いビルや森などに囲まれている場所ですと8つもの衛星を捕捉することが難しかったりします。
事前にスマートフォンのアプリ「GNSS View」などで衛星の位置を確認しておくと予測が立てやすくなります。
衛星が7個以下になったときに発動するOPTIモードというのはGNSSが捕捉されておらずATTI状態ではあるけれど下方ビジョンシステムが作動している状態です。完全なATTIモードと違い下方ビジョンシステムによってホバリングの安定性が増しています。
ただGNSSが捕捉されていないので不安定な状態であることに間違いはありませんので慎重に飛行する必要があります。
また高度が高い場合は下方ビジョンシステムは使えませんのでOPTIにはならずにATTIモードになります。
谷間や渓谷等での飛行の場合はGNSS捕捉数が飛行中に変化することが多いです。常にGNSS捕捉個数をチェックしつつ飛ばさないと、急にPモード(ポジショニングモード)からATTIモードやOPTIモードに切り替わることがあります。
機体の挙動が一気に変化するので事前に予測していないと焦って事故に繋がる可能性が高くなります。
また気をつける点としてATTI時には最高高度が30mに制限されること。OPTI時は下方ビジョン認識範囲内に最高高度が変更されます。
ですので谷間に飛行させた際にATTIになると離陸地点まで戻せなく可能性もあります。衛衛星が捕捉しにくい場所だと予測出来る飛行場所でフライトさせる場合はGNSS捕捉個数を常にチェックしつつ飛ばすようにしています。
その意味でもツーオペレーションでの運用は心強いです。
ATTIモードに切り替わる状態というのは周辺に障害物が存在します。
周辺に何もない状態でATTIに切り替わっても事故にはなりにくいですが、反対にそういった環境ではATTIに切り替わる可能性が低く、事故になりやすいような周りに障害物が沢山あるような場所でこそATTIに切り替わることが多いです。
よくよく考えると当然ですね。
5、各種バッテリー確認
機体の電源を入れる前にバッテリーNoは確認しておきましたが、機体の電源を入れている状態では更に詳細に色々とチェックをしていきます。
それではチェック項目を一つずつ書いていきます。
機体バッテリー残量
飛行前にチェックしなければ始まらない最重要項目ですね。
MAVIC2のインテリジェントフライトバッテリーは充電後に数日で自己放電する仕様になっています。リチウムポリマー電池が痛むことを予防する機能で、この機能をOFFにすることは出来ません。
設定できるのは放電するまでの日数になります。
放電までの日数は5日間が最長と言われていますが、スマート送信機のアプリでは10日設定が今でも出来ます。メーカーに問い合わせたところ10日設定であっても問題無いとのこと。まあ自己責任で放電日数は設定してくださいということだと思いますが・・・。
飛ばそうと思って現地で電源を入れたら自己放電日を超えていてバッテリー残量が60%に!なんてことが無いように飛行する前日に全てのバッテリーを体に装着し確認しています。
もちろん飛行中にも常に注視する必要がある機体バッテリー残量ですが、夏冬限らず私は残量50%で戻すようにしています。
30%程度まで使う方も多いかと思います。多くの場合は問題無いかと思いますが、急激なバッテリー電圧低下などが発生したときのリスクを少しでも減らすため私は50%での帰還を基本にしています。
どうしてもワンカットだけ撮影してからというケースもありますが、それでも40%を切るまでは使用しません。
怖いですからね。
機体バッテリー温度
バッテリー温度は非常に重要です、高すぎればバッテリーが膨張する可能性が高くなり、最悪使用できなくなります。低温では出力の低下などによる墜落の危険性が増します。
基本的には25℃以上で飛ばすのが良いと言われていますが、15℃以上あればMAVIC2の場合は離陸することが可能です。
しかし、離陸できるものの、安全に飛行出来るかというと疑問が残るので私は25℃以上で飛行するようにしています。
冬以外では元々25℃程度になっていることが多いように思いますが、外気温が低い場合はあらかじめバッテリーを温めておく必要があります。
事前にバッテリーを温める方法は人それぞれ。色々な方法がありますね
- 人肌に触れさせておく(腹にバッテリーを入れておくなど)
- 保温バックに入れておく
- カイロで温めておく
- レンズヒーターで温める(私はコレ
などなど
安定的な出力を出すためにも事前にバッテリーを温めておくことは必要かと思います。
何℃から飛行OKにするのか自分自身で決めておくのが良いかと。
私は25℃以上で飛行可能と決めていますが、21~24℃ぐらいの場合は一旦低空でホバリングさせてバッテリーの温度をドローンを飛行させることによって上げたりもしています。ホバリングで25℃まで上がったら上昇させています。
過去のトラブル事故事例を読むとバッテリー関係の事故が非常に多いように思います。もちろんバッテリー残量低下による事故も多いですが、おそらくバッテリー温度が低いことが原因なのかな?と思うような事故事例も沢山あります。
温度に気を付けるだけで墜落等の事故を防げるならば気を付けない理由がありませんからね。
機体バッテリーのセル電圧の差
MAVIC2の場合は4セルのバッテリーですので、それぞれのセルバランスは飛行前に必ずチェックしています。
飛行前の状態でセルバランスが0.05V以内であることを確認します。
また飛行後にAIRDATAというサイトアプリを使用することで飛行中のセルバランス変化も確認するようにしています。
飛行中にもセルバランスは常に変動していますからね、変動が多いバッテリーは注意して使用するか使用禁止にします。
DJIGO4アプリでもバッテリー状態が正常なのか異常なのかは確認してくれます。ただ何をもって正常と判定しているのか異常と判定しているのかメーカーに問い合わせても教えてくれません。ブラックボックスになっています。
ですので、メーカーアプリで正常であっても自己判断で異常と認識したら気を付けて運用するようにしています。
判断基準としては各セルバランスが0.05V以上。または飛行後のAIRDATAでの確認でセルバランス等に異常があった場合。これらを判断基準にしています。
機体バッテリーアラーム設定
機体バッテリーが残り何%になったらアラームが鳴るかの設定ですが、これは50%にしています。
メインプロポバッテリー残量チェック
MAVIC2を操作する際のメインプロポバッテリーのチェックも大事ですね。
機体バッテリーを大量に持っているとしても、プロポは1台だったりしますからね。
プロポのバッテリーは機体バッテリー数本分は持ちますが、それ以上のフライトをする場合はプロポも充電する必要が出てきます。
私は毎飛行ごとに必ずプロポのバッテリー残量をチェックしています。
飛行が多い場合、フライトのインターバル間にプロポを充電するか、フライト操作中にポータブル電源等でプロポを充電しながら使用したりします。
私はメインプロポにスマート送信機を使うようにしています。モニタ画面の輝度が高いので直射日光が当たっても見やすいですから。
ちなみに、スマート送信機の場合はクイックチャージ3規格の充電器を使用しないと充電速度がメチャクチャ遅いので、現地で充電する場合にはクイックチャージ3規格で充電できる環境を作るようにしています。
メインとしてスマート送信機を使用していますが、信頼性で考えると少し不安があります。というのも、スマート送信機の画面がフリーズしたりシャットダウンすることが度々発生しサブプロポに頼らざるを得ない時があります。
もう少し信頼性があれば良いのですが・・・。
サブプロポバッテリー残量チェック
私は基本ツーオペ運用をしていますので、サブプロポのバッテリー残量も飛行前にチェックしています。メインをスマート送信機にしていますのでサブプロポはMAVIC2の標準プロポを使用しています。
スマート送信機と比べて電池の持ちはとても良いです。プロポ本体にFPV用のモニタが付いていないから当然と言えば当然ですが。
標準送信機に使用しているスマートフォンはiPhoneですが、DJI GO4アプリのバージョンがスマート送信機と違う箇所があるので、その点だけは少し注意が必要だったりします。
スマートフォンバッテリー残量チェック
標準送信機を使用する場合はDJI GO4アプリの入ったスマートフォンを使用することが多いかと思います。送信機バッテリーが100%であってもアプリを動かすスマートフォンのバッテリーが無くなればFPV画像を確認することが出来ませんのでプロポと同時にスマートフォンの充電もしっかりと確認しています。
現場で電源確保する方法は離着陸地点付近に車を置けるようであれば、車のアクセサリーソケットもしくはAC電源から確保します。
プリウスであれば正弦波のAC100Vを確保することが容易だったりしますが、アクセサリーソケット(シガーソケット)しか無ければ、アクセサリーソケットからAC電源(正弦波)を確保できるアクセサリーを使用しています。
もしも車両が近くに置けないようであれば、大容量ポータブル電源を持ち込みます。ただ大きなポータブル電源は飛行機に持ち込み出来ないので、飛行機移動の際には持ち込みギリギリのサイズのポータブル電源にしています。
比較的小さめのポータブル電源でもAC100Vを取れるものが最近では出てきていますので助かります。
ただ容量が小さいのでバッテリー充電は2~3本程度。プラスして同時にプロポの充電やスマートフォンの充電を行います。
現地近くまで車で行けるような場所であれば大容量ポータブル電源を持ち込めるので現場での飛行時間が稼げます。
資金的に余裕があればドローンバッテリーを大量に持ち込み、現場での充電はプロポとスマートフォンのみの状態にしておけば、かなり余裕をもった空撮が出来そうです。
6、カメラ確認
カメラ(ジンバル)チェック
レンズにNDフィルタやPLフィルタなどを装着した後は特にジンバルの動きを確認した方が良いと思います。私もNDフィルタ装着後にジンバルが動かなくなった経験があります。
飛行自体に問題はありませんが、ジンバルが正確に動かなければ撮影に支障が出ますし、モニターを使用したFPV飛行にも支障が出ます。
NDフィルタを装着後に動かなくなった時には機体を再起動させたら動くようになりました。念のためにカメラジンバルのキャリブレーションを行いましたが、水平な場所を現地で探すのは結構大変なので、可能ならば撮影前日等にカメラジンバルのキャリブレーションは済ませておきたいところ。
新しく購入したNDフィルタを使うときなどは気を付けてください。
カメラ設定の確認等
- 静止画・動画モードの確認
- SDカード残量チェック
- シャッターチェック
- 画像伝送確認
- 撮影モードやフレームレート、シャッター速度の確認など
microSDカードに静止画や動画を保存する場合はmicroSDカードのエラーチェックも事前に行った方が良いですね。
microSDカードって普通のSDカードやCFカードと比べて不具合が多い印象です。個人的な感想ですが。
7、離陸直前、離陸直後の確認
スロットルの物理的破損チェック
スロットルが折れたりすることは滅多に無いかと思いますが、MAVIC2の標準プロポもスマート送信機も、プロポのスロットルはねじ込み式になっていますので、ネジが緩んでいないか等はフライト前にチェックしています。
アンテナ角度調整
アンテナの角度はアンテナの面が機体に向くように常に確認する必要がありますね。フライトするルートを離陸前にシミュレーションしてアンテナ角度や自分自身の向く方向などを頭に入れておき、アンテナが明後日の方向に向かないように気を付けています。
目視の場合はアンテナの向きが全然違う方向へ向くことは少ないと思いますが目視外の場合は気を付けておかないといつの間にか機体に対してアンテナの向きが反対方向を向いているなんてことも。
補助者とも連携しつつプロポのアンテナが常に機体に向くようにしています。
安全確認
周囲の確認を行います。大事なのは第三者の有無や離着陸地点の30m未満の物体物件確認など。人または物件との30m未満の距離での飛行について承認を得ていても離着陸時は人又は物件から30m以上離さなければいけません。
離着陸時の低空時にふらつくと危険性が高まりますからね。
私も離着陸時は気を付けています。
どうしても距離を離せない場合のことを考えて航空局の標準マニュアルの変更を行っています。どうにもならない場合は、その提出した独自マニュアルにしたがって安全対策を施したうえで離着陸させますが、基本は30m以上離すように努力しています。
安全に飛行させるためのマニュアルですから、いくらマニュアルを変更していても原則として30m以上離すことが大事だと思っています。
8、離陸
ここまで確認出来て、やっと離陸
離陸したら最初に確認するのが
プロペラの正常な回転
プロペラを始動した後に異音がしないか、問題無く回転しているか確認しています。
モーターから異音がする場合や、明らかに回転数が弱いプロペラなどがあればフライトを中止する必要があるかと思います。マイクロドローンではプロペラに異常がある場合などを経験していますが、DJIのMAVIC2では今のところ始動時にプロペラの異常を感じたことはありません。
プロペラの回転数が一つでも正常で無い場合はコロンと転がるような場合もありますし非常に危険です。マイクロドローンならばそこまで危険性は無いですが機体の重量が増えればケガの危険性が一気に高まりますから気を付けたいところですね。
LEDライト(警告灯などの状態)
モーター始動時に機体に付いているLEDの色は一応確認するようにしています。LEDの色や点滅点灯の違いによって機体の状態が分かるように機体ステータスインジケーターの役割をもっています。
もちろんLED表示で異常が見られる状態であればアプリ上でも異常を表すエラー表示が出ますから、そこまでLEDに頼る必要はありませんが、念のための確認です。
目視飛行の場合はモニタは見ないで撮影していますから機体のLEDを見て機体ステータスインジケーターを確認する必要がありますね。
飛行中に黄色の点滅や赤色の点滅や点灯になった場合は明らかに異常が発生していますので、至急着陸させる必要がありますね。
MAVIC2の場合の警告表示例
- 黄色の早い点滅・・・送信機信号の消失
- 赤色のゆっくりな点滅・・・ローバッテリー
- 赤色の早い点滅・・・極度のローバッテリー
- 赤色の点滅・・・IMUエラー
- 赤色の点灯・・・重大なエラー
- 赤色と黄色が交互に早く点滅・・・コンパスキャリブレーションが必要
低空状態でホバリングしチェック
ホバリングの安定性
地上高3~5mぐらいでホバリングさせ前後左右に流れることが無いか、高度は維持されているかなど、安定したホバリングが行われているか確認します。
動作確認
前後移動をさせてスティック操作が的確に反映されているか確認
左右移動をさせて同じくスティック操作が的確に反映されているか確認
左旋回・右旋回をさせて同じくスティック操作が的確に反映されているか確認
上昇下降操作も同じように行います
全ての動作が正しく行われ安定していることを確認し、本番の飛行をさせていく流れとなります。
飛行中は目視を基本とし、目視外で飛行を行う場合は補助者により機体監視を行ってもらっています。
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