ドローンで川の上空(河川敷)を飛行するには?許可の取り方や申請先の探し方

川の上空をドローンで飛行させたい!でも他人の目も気になるし、本当に河川敷でドローンを飛ばしてよいのか知りたい。そんな方も多いはずですよね。

そんな方の為に基本的な河川敷でのルールを書いてみようと思います。
大前提としてドローンを飛行させる場合には飛行可能な場所であっても航空法を遵守した飛行をさせてください。

河川敷のドローン
もくじ

河川法ではドローンの飛行は禁じられていない

ちょっと意外かもしれませんが、河川法では基本的にはドローンの飛行行為自体は禁止されていません。
河川敷は河川法による規制の範囲外であれば、河川敷は自由使用してよいことになっています。散歩やランニング、サイクリングなどはこれにあたりますよね。ドローンも明確に禁止はされていません。
河川敷

河川敷でドローンを飛ばす許可が欲しいという言葉をよく聞きますが、実際には規制の対象になっていないので許可という概念が本来はありません。
ただ河川によってはドローンの飛行を行政として原則禁止している河川事務所もありますので河川法で規制されていないからといっても、どの河川でも自由に飛ばせるわけではない。というのが複雑ですね。

自治体ルールで河川敷でのドローン飛行を禁止している場所もある

自由使用の範囲内ということで飛行できる河川がある一方で原則禁止という河川もあります。
たとえば、荒川下流の河川敷に関しては国土交通省及び周辺区で「新・荒川下流河川敷利用ルール」が定めらています。このルールによればドローンの飛行は”危険・迷惑行為”として位置づけられており、私的な撮影は許可されません。国交省の許可承認があっても私的な飛行撮影は原則出来ないことになっています。

■危険・迷惑行為(安全対策や防音対策などがない河川敷で実施した場合、他の利用者や付近住民に危険や迷惑を及ぼす行為)

危険行為

(1).バットやゴルフクラブなどは使用しない。

(2).バーベキューや煮炊きなどは行わない。

(3).無人航空機及び模型航空機(ドローン・ラジコン機等)は飛ばさない。

ただし、指定場所を除く。また、占用地においては占用者、その他においては荒川下流河川事務所の確認を受けている場合を除く。

反対に信濃川の下流域では一時使用届を河川事務所へ届け出ることで飛行することが認められています。

簡単にいうと河川によってドローンの飛行が可能かどうかは異なる!ということです。

ですので飛行させる前には、必ず河川敷で飛行させることが可能かどうか確認する必要があります。

荒川下流河川敷利用ルールから引用 https://www.ktr.mlit.go.jp/arage/arage00138.html

河川敷であっても人口密集地や空港近くは注意

河川敷というと、誰でも許可無しでドローンを飛ばせそうな雰囲気がありますが、さきほど書いたように実際には河川管理者や自治体がドローンの飛行を原則禁止にしていたり、届け出を求めたりするケースがあります。
また川であってもDID地区(人口密集地)に該当する場合は国土交通省の許可承認が必ず必要になります。DID地区にある河川に関しては許可承認が無ければ航空法の違法行為になってしまいます。

人口密集地

DID地区以外にも空港近くの河川の場合には空港事務所とのやり取りも必要になりますので注意が必要です。さらに河川敷といっても個人所有地となっている箇所もあるため自由使用が許されていても気をつける必要があります。

飛行可能か不可かの確認は河川事務所へ確認する必要がある

河川敷でドローンを飛ばすことが出来るかの確認は、結論を言えば河川管理者に確認するのが一番早いです。

ただ、この河川管理者がどこなのか最初は分からないことが多く、結果として無申請で飛ばす方が多いのだと思います。申請さえすれば飛ばせる河川敷は沢山ありますし、申請すら必要ないという河川敷もあります。首都圏ですと限られてきますが・・・

河川によってドローンの飛行に関して考え方が違うことは理解していただけたと思います。
ですのでドローンを飛行させたい河川ごとに河川事務所へ確認する必要があります。

そこでドローンを川(河川敷)の上空で飛行させる際の注意点や申請先について私の経験から書いていこうと思います。
まずは飛行させたい河川敷の管理者がどこなのかを知ることが大事です。

管理事務所によってはドローンの飛行についての考え方や注意点などを公開してくれています。
ざっくりした問い合わせ先の考え方はこんな感じになります。

河川の管理事務所の探し方

では、実際にどうやって河川の管理事務所を調べるのか、探し方を見ていきましょう。

一級河川の場合

① 国土交通省水管理・国土保全局のサイトで調べる

国土交通省の各河川(国道)事務所の管轄である可能性が高いので以下のサイトで管理事務所を調べてみましょう。河川ごとに連絡先の河川事務所が明記されています。その事務所へドローンの飛行について確認してみましょう。
このサイトでは全国の一級河川とそれを管理する地方整備局の河川事務所や管理支所が一覧で見ることが出来ます。

このページを見ると以下のような河川の管理事務所が瞬時に確認できます。
サイトの一覧から河川を見つけ出して、管理する事務所や支所へ連絡してドローン飛行に関してのルールなどを聞くことにしています。
ここで河川事務所等に連絡して他の場所へ回されることもありますが、最初の連絡先として覚えておくと楽です。

首都圏の代表的な一級河川(国の管轄)
  • 荒川・・・荒川上流河川事務所占用調整課
  • 多摩川/鶴見川・・・京浜河川事務所占用調整課
  • 江戸川・・・江戸川河川事務所占用調整課
  • 相模川・・・相模川広域ダム管理事務所施設管理課
  • 富士川・・・甲府河川国道事務所河川管理課

② 河川のある自治体の役所に問い合わせる

もしも上記サイトで河川が見当たらなければ一級河川であっても国から都道府県等に管理が任されている指定区間だったりする可能性があります。ですので都道府県の河川課などへ確認してみましょう。
すぐに管理事務所を教えてくれます。管理事務所を聞くだけでなく、その場でドローンの飛行についてお話しておくとスムーズです。

「河川管理部署を教えてくれ」と単刀直入に聞くよりも、最初に「〇〇川の〇〇付近でドローンの飛行を行いたいが、河川管理について教えてくれ」とドローンの飛行を目的としていることを最初に伝えた方が、より目的の部署への到達が早くなると思います。
相手にしてみれば、何の目的?というのが最初に来ますから、最初に伝えた方がスピーディーで問題も早く解決するかと。

というのも、河川自体は問題無くても、飛ばそうと思っている場所が名勝や天然記念物にしている場合などもあったりします。これは河川だけでなく自由に使えると思っている海岸でも同様です。

例)多摩川の支流河川(一級河川)は県の管轄
二ヶ領本川、平瀬川、五反田川、三沢川など・・・神奈川県横浜川崎治水事務所

二級河川/準用河川等の場合

二級河川の場合は、都道府県や市町村などの土木事務所や治水事務所などが問い合わせ先になることが多いです。
河川の管理事務所をネットで調べれば出てくるとが多いですし、もしも分からなければ河川課等へ電話すれば河川使用についての問い合わせ先や申請先を丁寧に教えてくれます。

一級河川の分岐支流や二級河川、準用河川などで飛行させたい場合は問い合わせ先が変わってきます。

例えば多摩川の支流河川である五反田川であれば県の管轄になりますので神奈川県の河川を管理している神奈川県横浜川崎治水事務所が問い合わせ先になります。

同じ多摩川の支流河川でも準用河川扱いになると問い合わせ先が違ってくる場合があります。二ヶ領本川(上河原線)であれば川崎市建設緑政局道路河川整備部河川課というように、県ではなく政令市になります。

例)多摩川の支流河川(準用河川)は政令市の管轄
  • 二ヶ領本川(上河原線)や五反田川など・・・川崎市建設緑政局道路河川整備部河川課


河川すべての許可先を書ければ良いのですが、日本の河川数は膨大になります。
利根川水系だけでも約800もの河川があるといわれ、日本全国ですと30000以上の河川があるとも言われています。

河川敷での飛行許可の実際は?

おおよそ、飛行させたい川の河川敷で飛ばす際の問い合わせ先は理解できたと思います。
そこで気になるのは、実際ドローンを飛行させたい場合に管理事務所へ問い合わせして許可されるのか?という疑問があると思います。

実際のところ、回答はさまざまです。ただ大きく分けて3つのケースに分かれると思います。

3つのケース

  1. 原則禁止となっているため飛行は出来ない。と断られるケース。
  2. 安全に配慮した上で管理事務所へ飛行計画書の届け出や河川敷一時使用届等を求められるケース。
  3. 河川敷でのドローン飛行は自由使用の範囲内なので飛行は構わない。くれぐれも安全に気をつけるよう口頭で注意されるケース。

私の経験だとこの3つのような気がします。

1.原則禁止となっているため飛行は出来ない。と断られるケース

飛行不可とされてい河川敷として有名なのが「多摩川」「鶴見川」「相模川」です。

これら3つの河川を管轄する京浜河川事務所占用調整課では上流下流を含め京浜河川事務所で管理している範囲内の河川敷では一切の飛行を原則として認めてくれません。

京浜河川事務所管内においては、事故及びトラブル防止の観点から、
(個人、団体を問わず)趣味・練習・試験等としての飛行も含め、無人航空機等の飛行を原則禁止します。

ただし、次の目的における飛行は可能です。

1.事故や災害時等に、国、地方公共団体、警察及び消防、これらの者から依頼を受けた者が、捜索又は救助等を行う場合
2.国、地方公共団体、警察及び消防、これらの者から依頼を受けた者が、訓練を行う場合(事前に管轄する出張所へ届出が必要です)
3.事故や災害時等に、報道機関等が撮影を行う場合
京浜河川事務所 河川の利用(河川法の申請等)から引用

河川敷でのドローン飛行を認めない理由としては、河川敷で発生したドローン墜落による負傷事故や火災が過去に発生したことがあり近隣住民からの苦情が寄せられていることが原因の一つのようです。

京浜河川事務所管内で発生した事故例
  • ラジコン飛行機が墜落し中学生に骨折の重傷を負わせる事故(1993年5月)
  • 相模川河川敷においてドローンが墜落し約6,600m2が焼失する火災事故(2017年3月)

2.管理事務所への計画書の送付や河川敷一時使用届等を求められるケース

地方の河川になると、飛行することは可能だが、事前に飛行計画書を送って欲しいといわれるケースも増えてきます。
計画書を送付しても管理事務所から許可証をもらえるわけではありません。
飛行に関しての許可を管理事務所で出すことはできないからです。なので、あくまでも把握しておきたいので送って欲しいと言われるケースになります。

また、飛行計画書ではなく、正式な河川の一時使用届等を求められるケースもあります。
この場合は、説明にしたがって使用届等を出せば問題ありません。

3.安全に気をつけるよう、口頭で注意を受けるケース

口頭で「安全にはくれぐれも注意して下さい」と注意を受けるだけのケースもあります。
「絶対に落とさないで下さい!」と念押しされることもあります。


これら3パターンに限られるのかなぁと。
口頭でちゅういされるだけなら連絡しなくてもいいか!とは思わず、ルール変更があるかもしれませんから、その都度一報しておくようにしましょう。

近隣住民から河川事務所へ苦情の連絡が度重なり入っているケースもあるでしょうし、場所によっては河川敷であっても個人所有の民有地となっているケースもあります。また当然ながらDID地区であったり飛行場の近くである場合は特段の注意と許可承認が必要になってきます。

代表的な川(河川敷)でのドローン飛行の可否について

最後に日本の代表的な河川についての問い合わせ先とドローンの飛行についての公開情報を引用しておきます。参考にしてみてください。

くれぐれも飛行の前には最新情報を問い合わせ下さい。

多摩川、鶴見川、相模川

京浜河川事務所の管理する河川においては、ドローン、ラジコン飛行機等の無人航空機の飛行は、航空法及び『無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン』の注意事項を守って飛行させることができる場所はごく限られていることから、航空法による許可または承認の有無にかかわらず、原則「飛行させることができません。」

https://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/keihin00836.html

荒川下流

無人航空機(ドローン・ラジコン機等)は飛ばさない。
但し、利用目的について公共性が高く、飛行エリアの安全が確保でき、下記の3要件を満たす場合は、飛行することが可能となります。

要件1:航空法第132条で定める飛行の禁止空域においては、飛行について航空法の許可を得ていること。
要件2:航空法第132条の2で定める飛行の方法を守ること。ただし、それによらず飛行させるときは、航空法の承認を受けていること。
要件3:占用地においては占用者、その他においては荒川下流河川事務所の確認を受けていること。

なお、事故や災害時に、国、地方公共団体、警察及びこれらの者から依頼を受けた者が捜索又は救助を行うために無人航空機(ドローン・ラジコン等)を飛行させる場合は適用されません。

https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000702331.pdf

信濃川 (北陸地方整備局 信濃川下流河川事務所の管轄範囲)

河川区域内でのドローン飛行に関しては、基本的にそれ自体を禁止するものではなく、自由使用の範疇とされています。
しかしながら、河川区域内であっても人口密集地の上空など、場所によっては別途航空法の許可が必要となる場合もありますので、飛行される場所の諸条件については各自でご確認の上、必要な手続きを事前にとって下さい。

また当事務所では、河川管理上支障とならないことはもとより、上記航空法の許可の有無や、他の河川利用者・占用者の妨げとならないか、近隣住民の迷惑になっていないかなどを事前に確認しております。
このため、短時間の使用であっても一時使用届の提出をして頂きますよう、ご協力をお願いします。

なお、河川敷地内の公園で飛行させる場合は別途公園管理者の了解が必要となる場合があります。併せて公園管理者にもご相談下さい。

https://www.hrr.mlit.go.jp/shinage/jimusho/shinsei.html

利根川 (関東地方整備局 利根川下流河川事務所の管轄範囲)

Q.河川敷で無人航空機(ドローン・ラジコン機等)はできますか?
A.
河川敷にある公園や広場等は、地元自治体などが許可を受けて施設を設置・整備した場所です。ここを利用する場合には、公園等の利用ルールがあるので、施設の管理者に確認が必要です。
その他の一般の河川敷での無人航空機の飛行にあたっては、航空法に基づく飛行ルールを確認の上、同法令に基づいた利用をお願いします。

【注意点】
●河川敷でのラジコン利用については、近隣住民や他の河川利用者から、騒音や危険な飛行などについて苦情が寄せられることもあります。利用の仕方や利用時間等にご配慮をお願いします。

https://www.ktr.mlit.go.jp/tonege/tonege00105.html

江戸川 (関東地方整備局 江戸川河川事務所の管轄範囲)

無人航空機の飛行にあたっては、航空法に基づく飛行ルールを確認の上、同法令に基づいた利用をお願いします。

なお、河川敷にある公園や広場等は、地元自治体などが許可を受けて施設を設置・整備した場所です。ここを利用する場合には、公園等の利用ルールがあるので、施設の管理者に確認が必要です。

現在のところ、江戸川河川敷には河川管理者が許可した無人航空機飛行場はありません。
【注意点】
 河川敷での無人航空機の利用については、近隣住民や他の河川利用者から、騒音や危険な飛行などについて苦情が寄せられることもあります。利用の仕方や利用時間等にご配慮をお願いします。

https://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00190.html

淀川 (淀川河川事務所の管理範囲)

淀川河川事務所の管理する河川(民有地、自治体等管理の河川公園等を除 く。)及び国営淀川河川公園においては、ドローン、ラジコン飛行機等の無人航空機(大きさや重量を問わず。)の飛行は、航空法による許可または承認の有無にかかわらず、危険・迷惑行為として原則禁止です。

名勝や天然記念物などに指定され別の許可が必要なケースも

最後にレアなケースを書いておきます。
もしも飛行させようとしている河川部分が例えば名勝や天然記念物などに指定されている場合、飛行を止められる場合があります。河川ですと滝などが名勝として指定されているケースがありますね。
私は業務で飛ばす際には河川事務所だけでなく、念のために必ず役所にも確認しています。

天然記念物に指定されている場所などは、たいてい文化庁(教育委員会)などへの許可申請が必要になってきます。文化財保護法の観点から飛行に際してさまざま注意点があったりする場合があります。
当日には許可出してくれませんから、前もって時間に余裕を持って計画を進める必要があります。

河川事務所の場合は、許可を出す権限はありませんから、報告だけであとは「気を付けて飛行させて下さい」の一言で終わることが多いと思いますが、名勝や天然記念物に指定されている場所であれば許可証をもらえるかと思います。私が飛行した数件の名勝や天然記念物は全て許可証を頂きました。

役所に問い合わせると河川事務所の連絡先もスムーズに進みますし、それ以外の規制がある場合でも飛行の可否を教えてもらえます。面倒でも一度連絡してみることをおススメします。

上記で取り上げたような大河川以外では、「気をつけて下さいね」と一言いわれるだけでOKなことも多いです。
河川事務所によっては、特に「飛行計画書」などを求められることもありません。ですが、事前に確認しておくことでトラブルも減りますし、何か第三者に言われた時でも「ドローンの飛行に関しては〇〇に報告済みです」と胸を張って言えますしね。

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この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
Gender : man 
My job : Photographer,Drone Pilot

CERTIFICATION
アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
d.bibouroku@gmail.com

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