今回紹介するのはMITが開発中という無限のレンジ幅を持った驚きの新センサー技術。
露出(明るさ)の違う複数枚の写真を1枚に合成させてハイライト部分の白飛びやアンダー部分の黒つぶれを無くすハイダイナミックレンジ(HDR)写真というのがありますが、たったのワンシャッターで無限のレンジ幅を持ったハイダイナミックレンジ写真が撮影出来たら凄いと思いませんか?
そんな夢が現実になるかもしれない技術が話題になっています。
【Unbounded High Dynamic Range Photography Using a Modulo Camera】
通常は画像センサー部分で受光する光は、ある一定量しか受け止められないわけで、コップに例えるならばコップ1杯分の光を入れたら、それ以上の光は入らずコップに入りきらなかった部分の光はハイライト部分となり白飛びになります。
しかし今回話題になっている新技術「Modulo Camera」ではコップが満杯になってしまったら一度全部空にして2杯目で1杯目では受け止めきれなかった残りの光を受けるという仕組み。2杯目でも光を受け止めきれなければ3杯目、4杯目と続き、理論的には無限の光を受光出来るという話しらしいです。
この技術が搭載されたカメラが実際に登場したら露出という概念が吹っ飛ぶカメラになりますね。既にピントという概念が一部分なくなったLytroカメラと組み合わせたら撮影時にはピントも露出も一切考えずに後からピントや露出を調整するという新時代的なカメラが生まれるのかもしれません。
最初にも書きましたが従来のHDR写真は複数枚の写真を合成させる必要があったために動いている被写体は苦手で、なおかつカメラも三脚に固定させるなどし動かさないことが条件になります。
「Modulo Camera」ではその制限が取り払われる訳ですから無限のダイナミックレンジという点以外でも凄い画期的です。
現実的な活用方法としてクルマの自動運転技術などに搭載されることを想定しているようです。
自動運転の際にクルマがトンネルからトンネル外の外へ出るとき、あまりの輝度差に通常のカメラではトンネル内と外の両方を監視することが出来ませんが「Modulo Camera」ならばトンネル出口に差し掛かった際にトンネル内の暗闇も直射日光が当たるトンネル外も両方監視できます。
これは自動運転の安全確保においては確かに非常に重要なキーになりそうな技術ですね。
しかしこれだけ画期的な技術。クルマの自動の目としてだけ活用させるのはもったいない!将来的にはスマートフォンや一般的なカメラにも導入される可能性もゼロではなさそう。
しかし、フィルム時代にはフィルムのラチチュード、そしてデジタルカメラではレンジ幅を気にしつつ、その範囲の中で良いハイライト部分を作りながら撮影することのほうが写真としては面白味があるというのも事実。全てが見えてしまうと面白く無いという意見もあるとは思いますが新技術の登場という意味においては素晴らしく画期的です!
先日ご紹介した「撮影時のガラスへの写り込みを完全除去できる驚きの新技術」などと合わせてスマートフォンなどに搭載される日を楽しみに待ちたいと思います。
以下は「Modulo Camera」の解説動画です。
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