ストロボでバウンス撮影する意味は?設定や角度、注意点などを解説

ストロボ/フラッシュの使い方で難しいのがバウンスでの撮影です。
初心者の方はバウンス???
とハテナマークかも知れませんね。

もくじ

バウンス撮影とは?

バウンス撮影とはストボの光を何かにバウンドさせて被写体に当てることを言います。
そのバウンドさせる対象物は天井だったり壁面だったりとバウンド出来るものであれば何でもOKです。
なぜバウンスさせるのか?
それは光を柔らかくするためです。


光を柔らかくすることで、強い陰影が出にくくなったり、被写体の後ろに強い影が出ることを防げたりすることが可能になります。そのためにストロボ光をバウンスさせて撮影するんです。

言葉で説明しても分かりにくいでしょうから、今回も写真で解説しようと思います。
ストロボを直接当てた場合やバウンス(角度による違いを含めて)を解説していきます。

ストロボの向きによる違い

①直接被写体にストロボを向ける 「直あて/直たき」

ストロボを被写体の飲料缶に向かって直接あててみます。通称「直あて/直たき」などと呼びます。
強い影が出ます。強い影が分かりやすいようにストロボはカメラから少し離れた場所からストロボをあてています。

上のイラストのようにカメラの左側に置いたストロボから飲料缶に向かって直接ストロボをあてています。
すると下の写真のように飲料缶の後ろに強い影が出ますね。これが直接ストロボを当てたときの特徴です。もちろんカメラ上部にストロボを装着した場合には飲料缶の後ろに強い影が出来ます。

②壁に向かってストロボをあてて反射させる 「壁バウンス」

次にストロボを部屋の壁面に向けて、光を壁に反射させて飲料缶を撮影してみます。これを壁バウンスといいます。

イラストのように左側の壁にストロボを向けて発光させます。すると左の壁に光があたり、反射した光が被写体である飲料缶にあたります。
光の強さである光量は落ちますが、影はどうでしょうか?ほぼ無いですよね。

さっきは缶の右後に強い影があったのに今回はありません。
その代わりに缶の左側が明るくなって、右側が暗くなっています。
このように被写体の片方が明るくなるのが壁面バウンスの特徴です。
ストロボを左の壁に当てているので跳ね返ってくる光も左側なんです。
バウンスすると多くの場合は影が弱くなるか消えます。

③天井にストロボを向けて反射させる 「天井バウンス/天バン」

次に天井にストロボを向けて反射させます。天井バウンスとも天バンとも呼ばれます。
バウンス撮影の中では最も一般的で失敗が少ないバウンス方法になります。

イラストの矢印が上手く無くてごめんなさい。天井にバウンスしている感じになります。
撮影した写真を見て下さい。先程の壁バウンスと比較してどう見えるでしょうか?
被写体である飲料缶の左右に明るさの違いは出ていませんよね。先程よりも非常に自然な形で撮影できています。それでいて後ろ側の影が気になりません。これが失敗しにくい天井バウンスの特徴です。

天井に向けてストロボを発光させているので、跳ね返ってくる光も上からなんです。
上からの光で思い当たるのは何でしょうか???

そう天井の蛍光灯や昼の太陽ですね。
天井バウンスの光はもっとも私たちが馴染みのある角度からの光なんです。
なので違和感無く見ることが出来る写真に出来上がります。

④後方にストロボを向け後ろのカベに反射させます 「バックバウンス」

そして最後にバックバウンスをご紹介します。
これは自分の後ろに向けてストロボを発光させます。
光はストロボから直接当てる光に近い角度から被写体に向かって飛びますが、バウンスする際に光が拡散されますので、直接光よりも柔らかい光になって被写体にあたります。

イラストを見ていただくとわかりますが、後ろの壁に跳ね返った光が被写体である飲料缶にあたります。
光が当たる角度が直接当てた時に近いのはイラストを見ていただくと分かると思います。
では直あての光と比べてどう違うのか写真を見てみましょう。

最初のストレート光と比べると分かりやすいのですが、缶の真ん中に強い光の帯がストレート光とバックバウンス共に入っていますね。
ですが、バックバウンスの方が光の帯が柔らかいのが分かります。
缶のような円形の立体物を撮影すると真ん中に強い光の帯が入ります。しかし光をバウンスさせることによって、それも軽減することが可能です。

ストロボのヘッド部分が回転する機種で行いましょう

ストロボの上の部分。ヘッド部分と言いますが、この部分が左・右・上・後ろに可動するストロボを使うことでバウンス撮影が簡単になります。機種によっては上にしか動かないストロボや上にも左右にも動かないものもあります。
バウンス撮影するには、ストロボのヘッド部分が左・右・上・後ろに可動するものを選んで下さい。

左右に可動
上に可動
後ろに可動

バウンス撮影するときの注意点

バウンスさせることで、光が柔らかくなり陰影が弱くなったり影が出にくくなることは写真をみて理解できたと思います。
では注意点は無いのでしょうか。
大きな注意点についてポイントを絞って書いておきます。少し難しいポイントもあるかも知れませんが、理解できる部分だけでも覚えておくとグッとバウンス撮影が上手くなると思います。

壁が離れている場合は光が弱くなる

ストロボから壁まで離れているときにはストロボの光が非常に弱くなってしまい、反射してくる光では十分な光量が得られずアンダー写真(暗い写真)になってしまうことがあります。
その場合はストロボの光量をマニュアル操作で強くしたり、カメラのISO感度を上げる必要があります。ストロボの使い方が慣れないうちは、ISO感度を上げることで対応したほうが簡単です。
ですがISO感度を上げると写真のノイズ(ザラツキ)が増えますので、その点は注意して下さい。

反射させる壁が黒っぽい場合は十分な光が反射しない

バウンス撮影する時には、壁の明るさにも注意して下さい。最も反射しやすい色は「白」です。反対に「黒」は光が反射しにくいので、十分な光が反射されず、壁が離れているときと同様にアンダー写真(暗い写真)になってしまうことがあります。
この場合は、反射させる壁を白っぽい場所に変えるか、もしくは先程と同様にISO感度を上げることで対応したほうが簡単です。

ストロボの設定はTTLで問題ない!ただマニュアルで操作した方が良い場合も

バウンス撮影する時にストロボの設定はどうすれば良いの?というのが多い質問です。
スロトボにTTLモードがついている場合は、そのままでOK。ストロボ側が自動的に明るさを調整して発光してくれます。
ただ場合によって、明るすぎる場合や暗すぎる場合があるのも事実。その場合はストロボの+-(プラス/マイナス)調整ボタンでストロボの光量を強めにしたり弱めたりする必要があります。またマニュアルモードが備わっているストロボの場合は1/1~1/128とかで光量を調整できたりします。1/1がフル発光(一番強い光)です。+-(プラス/マイナス)調整ボタンでも上手くいかない場合はマニュアルで調整するのも一つの手です。

壁に濃い色がついている場合は反射するストロボ光にも色がつくので注意

壁にストロボ光を反射させた時、壁の色が赤色だったとします。するとストロボの光が壁に当たって、反射して帰ってきたときには赤色が強くなって帰ってきます。
ですので、被写体に当たる光が赤色を帯びていると思って間違いありません。なので、バウンス撮影させる時には壁の色が無彩色である方が望ましいです。
プロがアンブレラを使ってストロボ光を反射させるのは、壁の色に関係なくストロボをバウンスさせることが出来るメリットがあることも一つの理由なんです。

入射角度と反射角度を意識してスロトボヘッドの向きを調整する

ちょっと難しい言葉が出てきますが、安心して下さい簡単です。つまりストロボの光は壁に当たった角度と基本的には同じ角度で反射するということです。
壁には凹凸がありますから、壁に当たった時点で光は左右上下に拡散して広がるのですが、基本的には一番強い光の中心は光の当たった角度と同じ角度で反射します。壁が鏡だと考えれば分かりやすいかと思います。鏡に向かってレーザーポインターを当てたらどうなるか考えてみて下さい。壁が真っ平らで平面であればあるほど鏡に近い光の反射をします。
なので被写体が遠い場合にストロボを天井バンスさせる場合は、真上にストロボ向けても被写体に光が当たりにくいのはわかりますよね。少し角度を付けて天井にバウンスさせた方が光の芯が被写体に当たりやすくなります。この点は覚えておくとアンダー写真(暗い写真)になりにくくなります。

壁に当てることでストロボ光はどのように拡散しているのか?

それでは、実際にストロボの光がどのように拡散しているのか確認してみましょう。
下の4枚の写真はストロボの光を捉えたものです。

左上のストレート光は壁の中心を強烈に明るくしているのが分かります。
他の3枚は壁をほぼ均等にストレート光よりも弱く明るくしているのが分かります。}

バウンス光は上の写真を見れば一目瞭然ですが、対象物に対して当たる光が弱くなります。
ですのでストロボ光を強く発光させる必要があります。

通常はTTLでの発光で問題ありませんが、被写体が暗い場合はマニュアル発光でフル発光や1/2発光などを試してみましょう。

バウンス撮影する際のポイントは?

ストレート光は遠くの物を明るくしたり、強い光が欲しい場合に有効です。
ただし影が強く出てしまうことがあります。
なので綺麗に撮影したいときにはバウンス撮影にも挑戦してみてもらいたいです。

少し難しいのはバウンスする角度によって被写体への光の当たり方が変化することや、壁までの距離が遠いと十分な光が反射してこないことなどがあります。
あと、ストロボの光の量が反射することで弱くなってしまいます。なので失敗してしまう可能性もありますが、最も一般的な天井バウンスでは失敗が少ないです。天井がすごい高い場所だと気をつける必要はありますが。
今回はポイントをリストにしてみましたので参考にしてみて下さい。

バウンス撮影でのポイント
  • ストレート/直接光は影が強く出るので影を無くしたい時にバウンス撮影は特に有効
  • バウンスは何かに光をバウンドさせて対象物に当てるもの(壁が遠すぎると反射光は弱くなる)
  • 最も一般的なバウンスは天井バウンス(天井が高い場所では使えない)
  • バウンスすると光は拡散されて弱くなる(特に壁まで距離がある時に顕著)
  • 場合によっては光量をマニュアル操作で調整する必要がある

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この記事を書いた人

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