デジタル@備忘録



ドローンでの事故を防ぐためには。冬のバッテリー温度低下や真夏のバッテリー膨張など

今回はドローンによる事故やトラブルの実際や、実際に私が経験したトラブルの一例、そしてトラブル回避に関して稚拙ながら私が実際に行っている方法などを書いてみようと思います。
最初にドローンのトラブルや事故事例について見てみます。


「無人航空機に係る事故トラブル等の一覧」に機体名が追加


国土交通省のHPでは報告があった事故に関して、まとめた一覧が公開されています。
その報告一覧ですが令和2年度から大きい変更がありました。その変更点はドローンの機体名が追加されたことになります。

doro-nn


※国交省が公開している事故トラブル情報は年度ごとに以下にまとめられています。
航空:無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール - 国土交通省
上記のサイト内にある【 5.無人航空機による事故等の情報提供 】  を参照

以前は「マルチコプター」や「ヘリコプター」「飛行機」などざっくした分類でしか報告書に明記されていませんでした。
機体の登録制度が始まったからなのか、令和2年度からは「DJI社製INSPIRE2」など正式名称が記載されております。

この一覧表を見ると、最新型のドローンであっても落ちるときには落ちる。フェイルセーフ機能が付いていても過信しては絶対にいけないと実感することが出来ます。

最新型のDJI製ドローンなどはプロポの電波が届かなくなった場合に自動帰還であるリターントゥホーム(RTH)が行われ操縦者もしくは離陸地点へ戻るはずなのですが、このRTHが利かずに墜落するケースも確認することが出来ます。


〇具体的な無人航空機の事故事例の一部


報告書の一部を引用すると
  • 電波の通信状況が悪化し、帰還操作を行うも機体は帰還せず、山中に紛失した。
  • 空撮のため飛行中、突風に煽られそのまま落下した。
  • 空撮のために飛行していたが、突如プロポ接続がエラーとなり壁に衝突し墜落した。
  • 海上を飛行途中で電波接続が断となり墜落した。

事故報告001


ここで紹介した事故に関しては最新型のドローンであれば回避できそうに考えてしまいそうですが、実際には事故となる事実があります。


〇ドローンのフェイルセーフや安全機能は働かないのか

例えば通信状況が悪化した場合でも自動帰還が自動的に発動されドローンが戻ってくると思いがちですが、GNSS(GPS等)の捕捉数が足りなければ帰還できませんし、残りのバッテリー容量が足りなくても帰還できません。
また、風速10m程度の風では最近のドローンは問題なく飛行する機体もありますが、突然やってくる突風には対処しきれいない場合もあります。

また突然プロポと機体の接続が切れてしまうことやプロポが突然シャットダウンするケースもあります。私はプロポのダウンに備えて必ず2台のプロポにて運用するツーオペレーションで飛行させていますが、それでも絶対はありません。

プロポと機体の接続が切れた場合はフェイルセーフとして自動帰還する設定を設けているドローンもありますが、事故報告を読む限りでは戻らないケースが多々あることを実感します。
考えれば考えるほど無事故で飛ばすことの難しさを感じます。

自分が無事故の運用を出来ているのは、ただ単に運が良いだけなのかもしれない。そう考えてしまいます。


私自身がドローン飛行で経験したヒヤリハットの事例


ドローンを飛ばしていると途中で画像伝送が途切れることなどは結構あります。しかしアンテナ角度を変えたり向きを変えたりすることで回復することも多く、電波の一時的な切断に慣れてしまうもの。
なので、あともう少しとフライトを続けてしまったりすると結構肝を冷やすことになります。

ドローンがそれほど離れておらず目視飛行を続けている時でも突然プロポの操作が利かなくなった経験もあります。
プロポが利かなくなるとパニックになり何が原因なのかその場での判断が難しくなり、更に危険な状態に突入してしまう可能性もありますので怖いもの。

ジオフェンス設定をしていても、その範囲を超えてしまうケースもあると聞きます。とにかく過信は禁物ですね。

私の場合はリターントゥホーム(RTH)を行った際にRTHの設定高度を超えてドローンが上昇しはじめ肝を冷やした経験があります。
RTH時の設定高度は50m。しかし実際には高度149mまで上昇しストップしました。RTHを行うような事態に陥った時というのは大抵バッテリーの残量も残りが少なかったりします。
そのような状態で149mまで上昇すれば余計なバッテリー消費にも繋がります。

そもそも設定値を超えて上昇してしまうということは何かしらの異常が発生していますから離陸地点に戻るかどうも微妙。かなり怖い思いをしました。

なぜ目視で戻さなかったかといえば、プロポの操作が利かなくなったためです。下降させるためにスロットルを下まで押し下げてもウンともスンとも・・・。
仕方なくRTHにて着陸させようとしたら設定値を超えた上昇。高度が高くなったため上空に立ち込めた霧の中に消えていき目視すら出来なくなりました。

デフォルトの標準マニュアルには「十分な視程が確保できない雲や霧の中では飛行させない。」と書かれています。
当然私も霧に入らない低高度での撮影を行っていたもののRTH動作によって霧の中に突入。
機体を見失いました。

このときに全く機体が見えない怖さを思い知りました。もちろん霧の中なのでカメラからの映像もホワイトアウトです。真っ白けっけの画面を見てもドローンが何処にいるのか全く分かりません。

ただ、GNSS(GPS等)の捕捉個数が15個以上あったので、まだ不安要素MAXではありませんでしたが、これがGNSS (GPS等) の捕捉個数が7個以下だった場合にはMAVIC2PROの場合はATTIモードに切り替わってしまいますからね、さらに危険度は増してしまいます。ATTIモードでも問題なく操作できる練習も必要なのは当然ですが、機体が見えなくなってしまっては操縦のしようがありません。
目視外の申請をしていたとしても可能な限り目視(補助者でも可)することが重要ですね。




ドローンが落下したら数秒で地上へ到達


見えない機体が落下することを考えるとゾッとしますよね。
落下スピードは速く、重力加速度を9.8m/s2と仮定して高度を50mとすると落下には3秒しかかかりません。
高度150mでも落下には5.5秒ほどしかかかりません。あっという間です。
もしも機体が見えている状況でも真上の飛行の場合は関係者であってもリスク大なのが分かりますし第三者の上空での飛行が禁止されているのもうなずけます。

ドローンが毎秒1mで動いていた場合には、落下地点は進行方向に動きながら落ちてきます。落下地点の予測は水平投射から予測は出来るでしょうが、現場で予測を立てて対応するのは無理がありますから、第三者の近くの上空を飛行するのは非常に危険。なのでイベント時には高度によって立ち入り制限区域が求められるわけですね。

いずれにせよ、国交省の出している飛行マニュアルは無駄に安全性を考慮した内容になっているわけではなく、事故の蓋然性を極限まで減らすための内容になっていますね。
私は一部を改良した独自マニュアルに変更しているものの、無理に変更する必要が無いものはそのままにしております。

冬場はドローンのバッテリー温度の低下が事故の元


夏場と冬場の温度にも注意が必要ですね。
とくに冬場はバッテリーが低温になりますので飛行前にバッテリーを暖めておく必要があります。
バッテリーが低温だと離陸すら出来なくなったりしますし、離陸出来たとしても電圧が低く落下する危険性が高まると聞きます。(たしかDJIのMAVIC2PROはバッテリー内部温度が15度以下だと離陸できなかったような)

ですので冬季に関しては飛行前にバッテリーを暖める必要があります。
バッテリーの温度がごく低温ではなく、ドローンが一応飛行出来る状況であれば、地上2~3m程度の低高度で暖機運転をすることでバッテリー温度が徐々に上昇しバッテリーが安定し始めます。

ちなみに私はバッテリーの内部温度が最低でも20度以上になったのを確認してから上昇するようにしています。


暖める方法は皆さんさまざまな手法をお使いになっているようですが、多くは湯たんぽなどを使用する事例をよく見ます。
電子レンジで温める湯たんぽなどですね。結構長い時間暖かさを保ってくれますしクーラーボックス内に入れておけば、更に温度低下を防げるようです。

私のバッテリー保温対策ですが、湯たんぽは使わずにレンズヒーターを使います。
本業がフォトグラファーで極寒地でレンズの結露を防ぐためにレンズ周りをぐるりと一周して暖めるレンズヒーターです。
使用するためにはレンズヒーターをモバイルバッテリーに接続する必要がありますが、温まるまでの時間は短時間ですし、元々が極寒の中で使用する製品ですので信頼性もあります。

バッテリー002

氷点下の状況でもしっかりとバッテリーを暖めてくれます。レンズを保温する為に作られている製品なので、レンズを暖めるのと同様にバッテリー周りをぐるりと一周まわして包んであげるとバッテリー保温の完成です。
写真を見ていただくと分かりますが、バッテリーをしっかりと包み込んでくれます。
本当の極寒状態だと時間がかかる場合があるので私はレンズヒーターを二重巻きにすることもあります。


夏場での飛行ではバッテリー温度の上昇に気を付ける


夏場は夏場でバッテリー温度が高温になりすぎるとバッテリー劣化が進み、バッテリーが膨らむことがありますね。炎天下での撮影の場合はバッテリー残量を50%程度で戻してバッテリー温度が高温になりすぎないように気を付けています。
真夏の撮影の場合は、バッテリー内部温度が60度を超えることもありそうです。私は飛行直前までクーラーボックスに入れて直射日光に当たらないように気を付けてます。

そうすることで、離陸時にのバッテリー内部温度は30度程度に抑えられ50%程度の残量で機体を戻せばバッテリー内部温度は60度を超えることは無い気がします。

以前海外の方がYouTubeにアップしている動画で、炎天下の中でドローンを飛行中にバッテリーが膨張してしまいドローン本体から外れ墜落するという衝撃的な映像を見ました。
バッテリーの膨張はバッテリー劣化だけでなく墜落の原因にもなることを実感した事例でした。


  無人航空機に係る事故トラブル等の一覧には操縦者の操縦経験時間も記入されています。
ただ民間の講習団体の証明書を添付して許可承認を受けた場合は一律で操縦経験時間は10時間以上と明記されてしまいます。 )

中には1000時間を超える操縦経験をお持ちの方の事故報告もあります。これは1000時間の操縦経験をお持ちの方でも事故を完全に防げないとも捉えられますし、1000時間も飛行させていれば事故の1度や2度は経験するとも捉えられます。
しかし、どちらの場合でも無人航空機の飛行は常に事故と隣り合わせだとも言えます。

1060時間の操縦経験をお持ちの方の事故報告には
・空撮のため無人航空機を飛行させたところ樹木に接触し墜落。

1500時間を超える方の報告では
・無人航空機を飛行させていたところ、突如制御不能となり墜落した。その後、墜落した機体から出火し付近の芝生に延焼した。

このような報告を読むことが出来ます。やはり長時間の飛行経験があっても気を緩めてはいけないと実感します。
恐らく何重にも安全を熟慮しての飛行であっても予測不能の事態が発生することはあると認識して飛行させることが大事ですね。
もちろん事故の可能性を限りなく0%にするべく事前準備と当日の運用を行うことは当然ですが。
飛行前のチェック項目についても今度書いてみようと思います。

今回はあまり考えたくない、ドローンの事故について書いてみました。
私自身がまだまだ未熟な操縦者なので学び実践していくことで安全運航に努めていきたいと考えています。
これを読んだ方に少しでもお役に立てれば何よりです。
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Orca
Posted byOrca

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