本日はあの有名な「ロベール・ドアノー」の言葉を!
最高の写真、いつまでも心に残る写真は、カメラに捉えられる以前にまず心の中に思い浮かべられたものなのだ。
出典:『写真術』ポール・ヒル/トーマス・クーパー著
ロベール・ドアノーと言えば代表作はコレ!
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パリ市庁舎前のキス(1950年)
この代表作”市庁舎前のキス”のオリジナル作品が2005年に、約2千2百万円で落札されて話題になりました。
この価格は落札予想価格の10倍だったとか。スイス人の方が落札されたそうです。
オークションプチ情報
作品を出品したのは、なんと被写体になった女性。
彼女は元女優で現在75歳のフランソワ・ボネ氏。
1950年にドアノーに撮影されたあと、ドアノーからプレゼントされたという非常に貴重なヴィンレージものです。そのため、落札価格が関係者の予想を大きく上回ったんでしょうね。
昔、この写真について調べたことがあったのですが、写真は演出されたものだとドアノーも認めています。
ただ演出というとウソか!と思われるかもしれませんが、2人がここでキスをしていたのは事実。
ドアノーが街中で観察しているときに彼と彼女はキスをして、それを見ていたドアノーが2人にもう一度キスをしてくれと頼んだのだとか。
こんなにキスが格好良いのは、2人が役者のタマゴだったから。
色々偶然が重なって、この名作が出来上がったのですね。
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ドアノーはたまたま2人のキスに出会ったわけでなく、ずーっと、何かが起きるのを待っていたのだと思います。
ドアノーは、撮影する場所を決めるとその場所から長時間動くことなく、何か偶然の奇跡の瞬間を待つのが彼の撮影スタイルだったからです。それは彼の以下の言葉からも分かります。
「ロベール・ドアノー」の言葉
私は、なにか確信があって撮影に臨むわけではない。心の中が驚きで満たされる瞬間をじっと待つのだ。
あるいは、奇跡のようなものを待つ。すると、奇跡は必ず起るのだ。
ただ、そのためにはじっと待たねばならない。3時間も同じ場所にじっとしていれば、いろんなことが起る。
あらゆるものが動く町で、じっと立っている男は、いくらもたたないうちに注意を惹くようになる。
人々がやってきは、ごくつまらないことを聞いていく。
ネジ回しを貸してくれと言われるかと思えば、パリ郊外のポルト・ド・クリニャンクールへはどう行ったらいいだろうかと尋ねられる。
そしてついにはスパイに間違われる。
嘘ではない。
じっと立っている男と言うのは、現代では非常に珍しい存在なのだ。
出典:『写真術』ポール・ヒル/トーマス・クーパー著
彼が、市庁舎前で何時間も奇跡を待っている姿が目に浮かびます。
スパイに間違われるまで立って一人前だと言われているようで、まだまだ修行が足りないなぁ~と(~_~;)
今の現代においても、風景撮影や動物撮影以外で、街中で何時間もカメラを持って立っていたら通報されそう。
しかし、決定的瞬間を撮るためには必要な努力なのかもしれません。それをドアノーは教えてくれています。
コメント
コメント一覧 (2件)
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こんばんは。
何ヶ月か前に京都で展覧会があった時に、この方とその作品を知りました。
写真を見たときから、「現代とは違うから」とかいうことが言い訳にならない何かは感じていたんですが、
>あらゆるものが動く町で、じっと立っている男は、いくらもたたないうちに注意を惹くようになる。
>そしてついにはスパイに間違われる。
こんな言葉が残っていたとは。
人間が好きなのか、あるいは、様々な人がいるということにひるまない人だったんだろうなということを強く感じました。
それだけはせめて見習いたいです。
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mapleさん
こんばんわ(^^♪
> 写真を見たときから、「現代とは違うから」とかいうことが言い訳にならない何かは感じていたんですが、
代表作になりうる理由があったのでしょうね。
最初に書いた、ドアノーの言葉どおり、彼はこのシーンが既に頭の中にあって、それが起きる瞬間をまっていたのかも。
> 人間が好きなのか、あるいは、様々な人がいるということにひるまない人だったんだろうなということを強く感じました。
> それだけはせめて見習いたいです。
時代が違っても、やはり自分なりの努力はいつの時代も必要なのだと思います。
時代が違えば同じ写真は撮影できないかもしれませんが、人々に印象付けられる写真はいつの時代も努力の上に成り立っていることが多いのでしょうね。