最高の写真、いつまでも心に残る写真はカメラに捉えられる以前にまず心の中に思い浮かべられたものなのだ
ロベール・ドアノーと言えば、代表作の”市庁舎前のキス”が凄い有名ですよね。
タイトルだけ言われてわからない人も作品をみれば「あ~~、これね」と頷くであろう写真です。
オリジナル作品が2005年に、2200万円で落札されて話題になりました。
最近では写真の落札価格がサザビーズでも低くなっているとのことですが、2005年のオークションでは落札予想価格の10倍でスイス人が落札!
今ほど不景気じゃなかったんですかね。
話がそれましたが・・・。
フランスの代表的な写真家であるロベール・ドアノー。
彼が残した言葉は
「最高の写真、いつまでも心に残る写真は、カメラに捉えられる以前にまず心の中に思い浮かべられたものなのだ」
ロベール・ドアノーという写真家は、とにかく貪欲に被写体に接近して撮影した人のようです。
有名な”市庁舎前のキス”は街中でのキスのシーンを撮影したものですが、ドアノーは最初に自然体のカップルを撮影した上で、カップルに近づいて、もう一度キスをしてくれと頼んで演出してもらったのだとか。
ドアノーは町で人物を撮影するときには、狙った被写体の瞬間的な自然さを崩さないためにまず1枚撮影をして、その後は、ほぼ確実に撮影した被写体に話しかけると明言しています。
話しかけた後は、”市庁舎前のキス”を撮影したときのように演出を頼むこともあれば、住所を聞いて手紙を書くなり家に訪ねたりするそうです。
そして訪れた後は撮影した写真をプレゼントして、さらにそこで撮影もさせてもらうのだとか。凄い踏み込みようですね。
どこまでも被写体に食いつく姿はスッポンのようですね(~_~;)
でも、それはロベール・ドアノーが語っているように、ロベール・ドアノーの頭の中には心に思い浮かべられた最高のワンシーンがあるのでしょうね。だからこそ被写体に近づき、そのワンシーンを撮影するために踏み込んでいるのでしょう。
たまたま偶然に最高の写真なんて撮影できないんだ!そんな言葉がロベール・ドアノーからは聞こえてきそうです。
報道写真家としても有名なロベール・ドアノーですが、その撮影手法は報道分野とは思えないようなもの。
とにかくドアノーは、撮影する場所を決めるとその場所から長時間動くことなく、何か偶然の奇跡の瞬間を待つのが彼の撮影スタイルだったからです。
それは彼の以下の言葉からも分かります。
私は、なにか確信があって撮影に臨むわけではない。心の中が驚きで満たされる瞬間をじっと待つのだ。
あるいは、奇跡のようなものを待つ。すると、奇跡は必ず起るのだ。
ただ、そのためにはじっと待たねばならない。3時間も同じ場所にじっとしていれば、いろんなことが起る。
あらゆるものが動く町で、じっと立っている男は、いくらもたたないうちに注意を惹くようになる。
人々がやってきは、ごくつまらないことを聞いていく。
ネジ回しを貸してくれと言われるかと思えば、パリ郊外のポルト・ド・クリニャンクールへはどう行ったらいいだろうかと尋ねられる。
そしてついにはスパイに間違われる。
嘘ではない。
じっと立っている男と言うのは、現代では非常に珍しい存在なのだ。
出典:『写真術』ポール・ヒル/トーマス・クーパー著
偶然カメラに捉えられる写真ではなく、完全なる自分の意志で撮影した最高の写真が撮るためには、それだけ自分のテクニックも想像力もセンスも必要ですよね。
でもそうして撮影された写真こそが、最高の写真であり心に残り続ける写真なのでしょうね。
撮影に対するロベール・ドアノーのストイックまでな追求は現代のカメラマン/写真家にとって学ぶ所が多いですよね。
Wikipediaより
ロベール・ドアノー(Robert Doisneau, 1912年4月14日 – 1994年4月1日)は、フランスの写真家である。主として報道写真やファッション写真の分野で活躍した。ロベール・ドワノーと記載されることもある。
ヴァル=ド=マルヌ県のジャンティイ生まれ。父親は配管工であった。1934年に結婚してオー=ド=セーヌ県のモンルージュに新居を構え、終生をそこで過ごした。
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