最近話題のコンピュテーショナル・フォトグラフィーが気になる

どうでも良いことを長々と書きました。多くの人には興味の無いことかと。自分の頭の中を整理するためにコンピュテーショナル・フォトグラフィーについて書いたので、すご~く暇な人は読んでみて下さい。
最近スマートフォンのカメラの機能が劇的に進化し、よく聞くようになった言葉の一つに「コンピュテーショナル・フォトグラフィー(Computational Photography)」というものがあります。この言葉自体はかなり昔からありますが最近特に注目されている気がします。
コンピュテーショナル・フォトグラフィーとは言葉通りコンピューターが作り出す写真のこと。もう少し丁寧に書くならばコンピューターによって高度な画像処理を施された写真とも言えるかと思います。
今までも各社のデジカメには画像エンジンによってRAW画像がRGB化される時にコンピュータによる画像処理が行われていますので、デジタルカメラである以上は、基本はコンピュテーショナル・フォトグラフィーと言えるとは思うのですが、最近使われている意味は、通常の演算処理では行われない別の意味でのComputationalな写真のことのようです。

つまりPixel 3のNight Sight(夜景モード)では夜景写真が驚くほど明るく撮影できたり、iPhone XSでは非常に広いダイナミックレンジを持っているかのようなHDRIの写真などがあるかと。
どちらの技術も既に似たようなものが日本製のデジタルカメラに使われていたりしますが、スマートフォンに内蔵されたことで一気に驚きが広がったのだと思います。
Pixel 3のNight Sight(夜景モード)ではノイズが乗っている複数枚の写真を合成することでノイズを除去していますが、これはソニーがマルチショットノイズリダクションという高速連写した6枚の画像を合成することでノイズを軽減する技術を以前からデジカメに搭載していました。
複数枚の写真を比較明と比較暗でそれぞれ重ねて合成させることでノイズを除去することが可能ですが、ただ単に重ねて平均値を取るだけでは被写体に動く物体が写っている時には不自然な写真になってしまいます。
その部分の合成処理がPixel 3のNight Sightは非常に優れていますよね。
三脚を使わなくても大丈夫なのは手ブレを防ぐ程度のシャッタースピードで撮影を行っているから。
しかし、その分ISO感度を高くする必要があるので1枚の写真ではノイズだらけの写真になります。そのため複数枚の写真を重ねてノイズを除去しているのです。
ただこういった複数枚の写真を合成させることのメリットは夜景写真だけではありません。人物の撮影でも複数枚の写真を撮影しておくことで目をつぶっている瞬間を避けることが可能です。複数人での記念撮影の場合であれば人数が多ければ多いほど目をつぶっている人がいる可能性は高まりますが複数枚の写真から目をつぶっていない瞬間をカメラ側で自動的に選び出してくれる、または目をつぶっていない瞬間の顔を合成してくれるなど、驚きのコンピュテーショナル・フォトグラフィーが使っている人が知らない間に生まれていたりします。
撮影している人はその場の真実を切り取っているように思っていても、写真に写っている瞬間は実は存在していなかったりするわけです。
今回発売されたiPhone XSやPixel 3などによって、合成によって一枚の写真を作り出すという手法は今後はスマートフォンカメラの標準になっていくのかと思います。
で、あるならばワンショットで撮影された写真はスマートフォンで撮影された写真よりもダイナミックレンジは狭くノイズも多く見劣りがしてしまうのでしょうか?
決定的瞬間を撮影したカメラがスマートフォンのコンピュテーショナル・フォトグラフィーであった場合に、本当に決定的瞬間と言って良いのか?こういった議論をするのは非常にニッチな人たち(私のような)だけで、多くの人はそんなことは気にもとめないと思います。
だって、多くのアイドルグラビア写真などでは当然のごとく体型を変えてしまうほどのレタッチが施され、世界報道写真の大賞受賞作でさえフォトショップでの加工が疑われました。(結論は規定を超えるような加工は行われていないとされたようですが)
真実を写すことを目指したカメラと高度なコンピュテーショナル・フォトグラフィーが今後は対決する時代が来るのでしょうか?
一昔前はデジタルカメラで補正してよいのは暗室作業でできる範囲内までだ!なんて議論もされました。今ではもちろん変化してきています。
HDRI写真は合成写真ですが、2020年の東京オリンピックでのテレビ映像はHERI技術によって放送される予定です。
ダイナミックレンジを広げる上でのHDRI画像は多くの人に違和感なく受け入れられればスマートフォンで撮影された写真が複数枚でのHDRIであろうと無かろうと綺麗に写っていれば議論さえ起きない時代に入っていくのだと思います。
写真人口がスマートフォンの普及により爆発的に増えているので各カメラメーカーはそこからの流入を狙っているのだと思いますが、多くのスマートフォンフォトグラファーは真実の一枚が取れるカメラを求めているわけではなく、高度なコンピュテーショナル・フォトグラフィーを求めているのではと思ってしまうのです。
であれば、カメラメーカーのガラパゴス化が起きるのでは?と思うのは行き過ぎなのかな。
YONGNUOがEFマウントのスマートカメラを開発し来年発表するようですが、同じようなスマートカメラをGoogleが発売すれば、爆発的にユーザーが増えるような気がします。Pixel 3のNight Sight(夜景モード)がキヤノンのレンズを使って撮影できるわけですから。
今までもアンドロイドOSを使用した本格的なデジタルカメラは何度か登場しましたが、その度にコケてました。ただ単にアンドロイドOSのアプリが使えたりwifiで繋げられたりというだけでそれほど魅力が無かったからだと思います。
しかし、今後過度なというか高度な画像処理を行うスマートカメラが生まれたら?
Googleが出さないまでもスマートフォン流のコンピュテーショナル・フォトグラフィーが撮影できるカメラが何かの機会に一気に増えるような予感がするのは私だけでしょうか?
この爆発的な写真人口を中国もアメリカも黙って見ているとは思えないような気がします・・・。
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この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
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My job : Photographer,Drone Pilot

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アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
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