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グラフで見るデジタルカメラ業界の今 スマートフォン増加の裏で何が起きているのか! 

ニコンが中国のコンパクトデジカメ工場を閉鎖するというニュースが話題になりました。閉鎖に至った理由は世界的にみてもコンパクトデジカメの需要が減ってきているからだと言われています。

確かにコンデジのCMもめっきり見なくなりましたし売り場面積も減ってきているように見えます。私の身の回りでも使っている人が減ってきていますね。

実際の所デジタルカメラ業界の現状はどうなっているのか気になったので調べてみました。



巷ではスマートフォンを多くの人が持つようになりコンパクトデジタルカメラが売れなくなっているという話をよく聞きます。
リコーではデジカメ事業を縮小しTHETAなどを含むアクションカメラへと重心をシフトするなんて話もあります。

実際どの程度カメラ業界がスマートフォンに押されているのか、グラフを作成してみましたのでそれを元に考えていこうと思います。

今回調べたのはデジタルカメラとスマートフォンの世界全体での出荷台数の年間推移比較。そしてデジタルカメラの出荷額と出荷台数の年間推移です。

スマートフォンの出荷台数に関しては米国の調査会社であるIDCが発表した情報を中心に使っていますが、確認できなかった年のデータに関しては他の情報機関のデータを使いました。
デジタルカメラの出荷額と出荷台数に関してはCIPA(カメラ映像機器工業会)が発表しているデジタルカメラ生産出荷実績表の年計情報を使用しました。
CIPAが集計しているデータは日本の10メーカーのカメラ出荷量になりますので、世界全体のカメラ流通量とは一致しないことを明記しておきます。

ただし日本メーカーのデジタル一眼レフは世界シェアが99%ともいわれ日本メーカーのデータが世界の出荷量に近いことも事実。ライカやハッセルなどの出荷量を足してもそれほどグラフに影響は無いと考え日本のCIPA発表データとスマホの世界出荷台数を比較しました。


そこを理解して頂いた上でグラフを見て頂きたいのですが、想像以上の驚くべきグラフが出来上がりました。

スマートフォンの出荷台数が2008年にはレンズ交換式カメラとレンズ一体型カメラの合計出荷台数を抜き、その後も伸び続けていることが分かります。

2014年から伸び率は少し押さえられているものの確実に出荷台数は増えています。
2013年には10億台の大台を超え2016年の出荷台数は15億台に近づきつつあります。
デジタルカメラと違い1~2年毎に買い換えるユーザーが多いことも出荷台数が増えている一因なのでしょう。

デジタルカメラ、特に一眼レフカメラは1~2年で買い換えるケースはプロを除いて低いでしょうからコンパクトデジカメも含めて伸び率どころか年々出荷台数が減っています。


2007年の時点ではスマートフォンとコンデジはほぼ同等の出荷量だったのですが・・・・
・スマートフォン・・・8987万台
・レンズ一体型カメラ・・・9289万台
・レンズ交換式カメラ・・・746万台


2016年の出荷台数で比べると
・スマートフォン・・・14億7000万台
・レンズ一体型カメラ・・・1258万2092台
・レンズ交換式カメラ・・・1160万7778台


2016年にはコンパクトデジカメも含まれるレンズ一体型カメラとスマートフォンを比べると、その差はナント126倍です。
一眼レフとコンパクトデジカメを合わせた総合計と比べても60倍もスマートフォンが売れている計算になります。

世界人口が76億人ですから世界人口で割っても2016年には5人に1人がスマートフォンを購入している計算になります。

今や新興国でも人口比で考えるとスマートフォンの普及率は100%を超えるとも言われ、先進国での普及率はゆうに100%を超えています。
要するに世界を見回しても新興国を含めてカメラの所有率が非常に高いということになりますね。

そしてスマートフォンの普及率が高まるにつれレンズ一体型カメラの出荷台数が減っていることがグラフを見ても良くわかります。

スマートフォンに付いているカメラは毎年のように画質が向上しユーザーはスマートフォンを買い換えればカメラ機能が強化されているのが当然のことと考えています。
またスマフォを毎年のように買い換えるユーザーも多く、数年前に購入した古いコンパクトデジタルカメラよりも魅力的に見えたり実際に所有しているコンパクトデジカメよりも使い勝手が良いケースが多々あると思います。

SNSへ投稿することが多くなっている昨今ではネットワークにつながっていないデジカメよりも撮影後にスグにWeb投稿できるスマートフォンの方がずっと快適だったりします。写真を印刷する機会が減ったことも大きな要因でしょうか。

1~2年ごとに新しいスマートフォンを購入するユーザーにとっては必ずカメラの機能も向上するわけですからスグに買い換える機会のないコンパクトデジカメの購入を躊躇するユーザーが出てきて当たり前ですね。

と、グラフを実際にみるとそんな考えが出てきますが、ではデジタルカメラの出荷台数はどの程度減ってきているのでしょうか。
上のグラフだとスマートフォンの出荷台数が入っているのでデジタルカメラの純粋なデータが見えにくいので以下のグラフを作成しました。




こちらはデジタルカメラの世界での総出荷台数の年間推移グラフです。データ値はCIPA発表のものを使用しています。
・青線・・・デジタルカメラ総計
・赤線・・・コンパクトデジカメ(レンズ一体型)
・緑線・・・一眼デジカメ(レンズ交換式)


スマートフォンの出荷台数が一気に増え始めた2010年を境に右肩下がりにコンパクトデジカメを始めとするレンズ一体型カメラの出荷台数が減っています。

当初は2011年の東日本大震災が影響で2011年の出荷台数が減ったと思っていましたが2012年も2013年もその後もずっと下がり続け2016年にはデジタル一眼レフカメラの出荷台数に近いレベルまで台数が激減しています。

このまま行けば2017年はデジタル一眼レフカメラの出荷台数を下回るのではないかと思います。
ニコンが中国の製造工場閉鎖を決めた理由がグラフを見ると分かってきます。

下がっているのは出荷台数だけでなく出荷額、つまり売上高も右肩下がりになっています。下のグラフがデジタルカメラの総出荷額の年間推移グラフです。



一眼レフカメラは単価が高くコンパクトデジタルカメラは単価が低いことから、売上高に関しては2012年の時点で出荷額が逆転しています。
レンズ一体型カメラは2008年をピークに下がり続けていることが分かります。今後増える要因はおそらく無いでしょうから、このままなだらかに下がり続けることが予想できます。
こういった流れの中でニコンの中国にある無錫市のコンパクトデジカメ工場を閉鎖したのだと思います。

10年前と比べると出荷額が全体として1/7にも減っているのには驚きました。
これでは開発費を捻出することを含めて難しくなってきますよね。開発費が出せなければ魅力あるコンパクトデジカメが出せなくなりユーザーにも魅力的には見えなくなってきてしまいます。非常に悪循環ですね。

ただデジカメ全体としては2006年に2兆605億円あったのが2016年には7102億円と約1/3とコンデジの減り方ほどではありません。単価の高い一眼デジカメが何とか頑張ってますから。

レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラは何とか下げ止まって欲しいところ。コンデジのように開発費までも圧迫されていけば魅力あるフラッグシップ機が出なくなってしまいます。

今回はデジタルカメラという大きな枠でのグラフ作成でしたが、メーカーごとに比べてみると更に興味深い結果になります。
コンパクトデジタルカメラが売れなくなっても、それほど影響のないメーカーや大きな打撃を受けているであろうメーカーなど。

機会があればそういったデータも記事にしてみようと思います。







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