パブリシティ権と肖像権の違い
今回パブリシティ権を最高裁が認定したというニュースについて書いていこうと思うのですが、混同されやすい肖像権とパブリシティ権について簡単におさらいしてみようと思います。
カメラマンにとって肖像権や著作権、そしてパブリシティー権は悩ましいもの。
私が今読んでいる本も『デジタル時代の著作権』(野口祐子著)というもの。
この3つの権利に関してはカメラマンは常に気にしなくてはいけない事柄のひとつです。
その一つ、パブリシティ権について最高裁が一定の権利を認める判決を出しました。
本日の朝日新聞夕刊のトップニュースにもなっています。
一般の方には肖像権やパブリシティー権といってもピンと来ない方もいるかと思います。
肖像権とは
国民全員にある権利で、自分の姿に関しての写真などを勝手に他人に使用することを認めない権利のことです。
パブリシティ権とは
Wikipediaから解説を引用するとパブリシティ権とは
・パブリシティ権(パブリシティけん、英: right of publicity)は、人に備わっている、顧客吸引力を中核とする経済的な価値(パブリシティ価値)を保護する権利を言う。プライバシー権、肖像権と同様に、人格権に根ざした権利である。
となります。
ちょっと分かりにくいかも知れませんが、簡単に言ってしまえば、芸能人やスポーツ選手など著名人が勝手に自分の写真や名前を勝手に使われない権利のことです。
パブリシティ権侵害の例え話をしてみます。
・コンサートなどに行って有名な歌手の撮影をしプリントしたものをネットで売りさばきました。
・有名なスポーツ選手名を使って、無許可で「あの◇◇◇選手も使っている商品です」と商品説明をして商品を売りました。
こういった行為はパブリシティ権を侵害したとして訴えられる可能性が高いです。
パブリシティ権に関する過去の判例
ですが今まで著名人に関するパブリシティ権で最高裁の判決はありませんでした。
今まで争われた地裁や高裁の判例はいくつか存在します。
有名なものでは、
・王選手記念メダル事件(東京地裁昭和53年10月2日)
・おニャン子クラブ事件(東京地裁1990年 )
・土井晩翠事件(横浜地裁平成4年6月4日判決)
・中田英寿事件(東京地裁平成12年2月29日判決)
など。
それぞれ、パブリシティ権と事件名で調べれば詳細が出てきますので興味がある方はお読み頂ければと思います。
パブリシティ権に関する最高裁判決
今回の最高裁で判決が下ったのは、「ピンク・レディー」の2人が、週刊誌(女性自身)の記事(2007年2月)で写真を無断で使われたとして発行元の光文社を訴えた裁判です。
最高裁判所は、原告の訴えを退けたのですが、著名人には名前や写真などを無断で使われない権利「パブリシティ権」があるとパブリシティ権の権利を初めて認めました判例となりました。
今回パブリシティ権の侵害として定義されたのは
1,肖像それ自体を鑑賞対象とする商品につかう
・ブロマイドやカレンダー、グラビアなど写真をメインとして使う商品に使用することなど
2,商品の差別化に使う
・キャラクター商品など他の商品との差別化を目的として使う場合など
3,商品の広告として使う
・写真などを商品の広告として使用する場合など
今回原告の訴えが退けられた理由は、
「正当な表現の場合は侵害にはあたらない」
と判断された為です。つまり上の3点などに当てはまらず正当な表現であれば著名人は受認すべきだとの指摘もされたわけです。
今までも当たり前のこととして常識的には守られてきた事項ですが、今回最高裁が公に認めたことが大きな関心事となっています。
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