写真撮影や天体観測で大活躍! 曇り具合の様子や雲の動きが予測出来るWindy.comとSCW/GPV気象予報

写真撮影では天気の状況を把握していることが成功のポイントだったりすることが多いのですが、今回ご紹介するのは雲の様子をシミュレーション予報してくれる優れた天気予報サービス2.5個。2.5としたのは、SCWとGPVは同じ予報結果になりますが、どちらが優れているということではなく、それぞれ特徴があるのでSCWもGPVもご紹介しようとおもいます。

1.SCW気象予報・GPV気象予報 
2.Windy.com 2019年から一気に有名になってきた超優秀なサービスです オススメ!

もくじ

GPV気象予報の使い方と特徴

最初に昔からあるGPV気象予報の説明から行いたいと思います。
このサービスは関東だけでなく全国を網羅しています。あとで書くWindy.comは世界中を網羅しています。

GPVはアメダスレーダーのような表示によって、雨の量や雲の量などを視覚的に表示してくれるサービスです。
気象協会などのサイトでよく見かけるアメダスレーダーですが、雨の量は分かるものの、雲の量や範囲は表示してくれません。
実際に雨が降っている場所に関しては把握しやすいのですが、雨が降っていない場所に関しては、雲がどの程度あるかの詳細は分かりません。

空の8割を雲が覆っていても予報では「晴れ」と表記されます


天気予報で「晴れ」といっても、全天の8割が雲で覆われていても「晴れ」と予報されます。
9割が雲で覆われていたら「曇り」。なので予報が「晴れ」であっても雲の量って気になりますよね。

気象庁の言葉を借りてご説明すると、
雲の量が1割以下(0~1割)の状態を「快晴」、2割から8割の状態を「晴れ」、9割以上の状態を「曇り」といいます。

写真撮影や天体観測などでは、雲が実際にはどの程度あるのか。これが重要です。天気予報で「晴れ」であっても7割も8割も雲が空を覆っていたら、まともな天体観測は出来ませんし、快晴の空を目指して撮影に行ったら、ほとんど曇り空だったなんてことも。
この難しい要望に応えてくれるのがGPVやSCWの気象予報。

私も便利で使っていますがGPV気象予報の詳細に関しては詳しくありません。GPVというのはGrid Point Valuesの略らしく気象業務支援センターが出してくれているそうです。

そして、そのデーターを元にWeather-GPVがGPV気象予報というサイトを作っています。
これが非常に素晴らしい!

雲の様子まで予報してくれるのが便利

見事に雲の様子を視覚化してくれています。あくまで予報ですが、どの程度の雲があるのか無いのかを少しでも予測できるのはありがたいですね。下のキャプチャー画像が実際のGPVの画面です。

上のキャプチャー画像をみても最初はわからないかも知れませんが、慣れると簡単に理解できます。
雨に関しては青から赤までの色を使ったグラデーションで表されています。

雲に関しては黒からグレーのグラデーションを使って雲の割合を示しています。雲量は地点において全天にしめる雲の割合を表しており[%]で 示されています。

つまり
「黒」であれば晴れ。
「白っぽいグレー」であれば雲が多い。ということになります。

曇と一口に言っても、どの程度の曇なのか知りたいという時に役に立ちます。晴れ予報であっても実際には結構雲があったりしますので、そういった場合にも予測の一つとして持っておくことが可能です。

天体観測をする方の間ではよく使われている天気予報とのこと。
これはブックマークしておきたい天気予報です。

GPV気象予報は雲の様子だけではなく以下の様な予報も出してくれます。

気温の様子や相対湿度。
下のキャプチャー画面は2022/10/23の関東の予報温度。

GPVは高層天気図予報が見られる。ここがSCWとの大きな違い

高層天気図とは、特定の高度や気圧面における気象要素の分布図のことになります。気象庁では、300hPa(ヘクトパスカル)、500hPa、700hPa、850hPaなどの等圧面天気図を作成していますが、こういった専門的な天気に関しての予報がGPVだと見ることができます。ここが後でご紹介するSCWとの大きな違いかなと思います。

左側にあるメニューの「高層気圧面」のプルダウンメニューを開くと、それぞれ専門的な予報を見ることが可能です。
下のキャプチャー画像は300hpa高度の気温と風を表示させたものです。

その他にも気圧・風速に波高なども表示することが可能です。

パソコン上で確認するならば上記アドレスから予報画面を確認するのがベストです。
スマートフォン用だと少し見にくいですので、専門天気図などを利用しない場合は、圧倒的に新しく開発されたSCWのサイトが見やすいです。

SCW天気予報 GPVが見やすく便利に!スマートフォン対応

SCWは先に紹介したGPVの後継版です。ですのでGPVよりも見やすく、スマートフォンなどのモバイル表示対応になっています。
専門的な高層天気図が見られなくなっていますが、通常の予報では、GPVよりも局地予報に強くなり、更新回数もGPVよりも増えています。
つまり、通常使用するにはSCW天気予報の方が見やすく使いやすく、予報も小刻みに更新されメリットが大きいということになります。

SCWをパソコンで開くと下のような画面になります。
下のキャプチャー画像は「広域264」の予測モデルで「雨量・雲量」を表示させたものになります。右下にあるボタンメニューをクリックすることで、「詳細」モデルになったり、「雨量・雲量」を「気温・湿度」などに変更することが可能です。

GPVとSCWが同時に更新されるタイミングの場合は予報は両方ともに同じ雲などの表示になります。

SCWはGPVの進化版 最近はSCWをメインで使用してます

更新のタイミングはSCWの方が細かいので、私の場合は最近GPVは使わなくなり、完全にSCWに乗り換えた感じです。
何より見やすい。そしてスマートフォンやタブレットでも操作しやすくなりました。
GPVも非常に素晴らしいサービスですが、これから使用する方はGPVよりも更に使いやすくなったSCWの方をオススメします。
黒い部分が「晴れ」で白やグレー部分が「雲」であることなど、表示の見方はGPVとほぼ同じですから、詳しい見方の説明などは既にGPVの項目で行ったので割愛させて頂きます。

観測表示で雲の種類が分かるのがSCWの大きな特徴「雲観測マップ」

予報ではなく、観測表示での機能になりますが、「雲観測マップ」という機能がSCWにはあります。
観測画面にして、雲形を選ぶと「雲観測マップ」画面に切り替わります。

色分けされており、どの種類の雲がその地点で発生しているのか視覚的に確認することができます。これは素晴らしい機能ですね。ちなみに、3つめのサービスとして紹介するWindy.comでは上層雲、中層雲、下層雲という分け方で表示されます。SCWの方が、更に詳しい雲の分類表示をしています。

・上層雲
・積雲
・層積雲
・層雲/霧
・曇天(不透明上層雲)
・中層雲
・積乱雲

Windy.com 圧倒的な使いやすさと詳細な天気予報で一気に有名に

続いて最近使う人が増えてきた素晴らしいサービスのWindy.comのご紹介
Windy.comはパソコン版のサービスとスマートフォンのアプリサービスの2つがあります。
アプリはiPhoneやアンドロイド端末の両方で用意されています。
最初にサイトアドレスとアプリを紹介しておきます。実際に触って使ってみたほうが分かりやすいという点もありますから。

Windy公式サイトとAppアプリ/Google Playアプリ

Windy.com

Windy.com

Windyty, SE無料posted withアプリーチ

Windyは海外の気象情報を使用した天気予報モデル

デスクトップでWindyへアクセスすると以下のような画面が出てきます。
デフォルトは表示が「風」になっているかも知れません。右側のメニュー画面から「雨、雷」「雲」「気温」「波」などを選ぶことが出来ます。

このアプリが話題になっている原因は予報予測精度が世界一ともいわれるECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)とGFS(アメリカ海洋大気庁)の2つの予報が10日先まで見られて、なおかつグラフィックが非常に洗練され使いやすいんです。

ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)とGFS(アメリカ海洋大気庁)の予報は一緒には表示できませんからクリックしてどちらかの予報を選択することが必要です。デフォルトではECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)が表示されるようになっています。

予測精度は非常に高く、台風進路予測でも高評価

日本の天気予報ならば気象庁の予報が世界一何じゃないの?と思うのですが、気象庁が平成29年に行った数値予報モデル開発懇談会の資料を読むと「全球モデル予測精度の国際比較」では圧倒的に予測精度はECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)がトップ!

図の出典:気象庁 資料リンク
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「台風進路予報誤差国際比較」においても日本は世界比較で精度が悪いことが判明しています。ここでもECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)がトップレベルの予報を出していることが分かります。
もちろん気象庁も局地的な短時間予報などで非常に優れた結果を出してくれてはいますが中長期的な予報を考えるとチェックする天気予報にECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)を使用できる「Windy.com」を入れておくのも良いかと思います。
この資料は北太平洋領域における結果になりますので、日本周辺での台風進路に関しては、過信しないようにする必要はありそうですね。

気象庁は平成30年の6月から新しいスーパーコンピューターの運用を始めました。以前のスパコンと比べると10倍の性能があるのだとか。
ですので上の資料ほどの差が現時点であるのかどうかは不明です。今後徐々に縮まって行くことを願っていますが現状認識としては、気象庁の開発要員数は主要な数値予報センターと比較すると少なく、予測精度を向上させるには開発体制を充実させることが目下の課題のようです。

ちなみに数日前のことですが、1日先の天気予報で日本の天気予報各サービスでは午前中に雨予報。午後は曇りの予報でした。
しかし「Windy.com」では午前中は曇り。午後の3時頃に雨が降る予報。

結果は午後の3時ごろに雨が降り「Windy.com」の予報だけが的中させていました。これはたまたまの結果かもしれません。しかし日本の気象会社のほとんどで午後の雨を予測していたサービスが無かった中で「Windy.com」だけが的中させたのには驚きました。

日本の会社だからこそのバイアスをかけていたのかも知れません。結果としてはそれが裏目に出てしまったケースなのかな?とも思えます。「Windy.com」がどの程度信頼できる予測なのかは是非ご自身で試してみて下さい。

上層雲、中層雲、下層雲に分けて予報モデルを表示できる

「Windy.com」では雲の様子もチェックできます。もちろんそのためにご紹介したのですが・・・。
雲の様子意外にも色々表示できるので何を紹介してよいのか迷うほど。
雲予想ができる信頼できるサービスですから天体観測や撮影などの計画にも非常に役に立つと思います。GPVと併せて使用すれば計画を立てやすいですね。

雲予測といっても、細かく分けて表示することが可能です。
・上層雲
・中層雲
・下層雲

この3つのレイヤーを表示することが可能で別々に表示することも一緒に表示することも可能です。
その他、風速や積雪深、気温、湿度、霧、波、などなど、驚くほど多くの情報がクリック1つで選択でき10日先の予報を瞬時に確認することが可能です。

もちろん時間が先になるほど予報の精度は落ちていきますが、それでも天気が気になるときには選択肢の1つとして見たくなってしまいます。

ECMWF、GFS、ICONの3つの欧米天気予報モデルを見ることができる

最初の説明でも少し触れましたが、予想モデルが複数見られるようになっています。
少しなれて来ると、Windy.comにECMWF、GFS、ICONという3つの天気予報モデルを選べることが分かると思います。
パソコンで見ている場合は右下に3つの予報モデルを選択するボタンがあります。スマートフォンですと右下の三本線(ハンバーガーボタン)を押してサイドメニュを出し、一番下の方に3つの予報モデルを選択できるボタンが出てきます。

デフォルトだとECMWFになっていると思います。ECMWFは欧州中期天気予報センターによる予報です。GFSは元々は航空用に作成された米国のアメリカ海洋大気庁による天気予報システムとのこと。ICONはドイツ気象サービス(Deutscher Wetterdienst)の予報になります。

どの予報が一番信頼できるかは、ハッキリは分かりませんが、上でも書きましたが気象庁の数値予報モデル開発懇談会の資料を読むとECMWFが予測誤差が一番少ないという結果になっています。ただ局地的な予報ではなく全球モデル予測の精度になりますから、かなり広範囲の予報かとかと思います。あまり過信しないように、予報を活用していきたいですね。

アプリのコメントでも非常に予報が当たるとのコメントが多く最近は「Windy.com」を使用する方が増えてきているようです。

天気予報モデルをブログなどのWEBサービスに埋め込むことも可能

ちなみにWindy.comではウィジェットを埋め込むことが可能です。書き込むコードはWEBサイトでWindy.comを開き、左上にあるハンバーガーメニューボタンをクリックすると出てきます。
試しに「Windy.com」を埋め込みました。ここで少し操作も可能です。
気になる方は色々とレイヤーを変更したり時間軸を動かしたりして使い勝手をチェックしてみて下さい。凄く良く出来ているサービスですよね。これが無料とは驚きです。

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この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
Gender : man 
My job : Photographer,Drone Pilot

CERTIFICATION
アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
d.bibouroku@gmail.com

コメント

コメント一覧 (2件)

  • SECRET: 0
    PASS: 71cc952703b53dd6a78e20e32b442f31
    「全球モデル予測精度の国際比較」で比較しているのは「全球
    モデル」です。ECWMWFは全球モデルですが、気象庁の全球モデル
    はGPV気象予報の「広域モデル」にあたります。
    ・ECMWFは9㎞メッシュ、2回更新/日
    ・GPV広域モデルは20kmメッシュ、1回更新1日(または4回)
    その図では、これらを比較し、GPV広域モデルよりはECMWFが良い
    ということを言っています。
    当然全球モデルよりメソモデルの方が精度は優れているため、
    ECMWFのメソモデルと、気象庁のメソモデル(GPVの詳細モデル)
    を比較するべきですが、ECMWFの日本域のメソモデルはありません。
    気象庁の5kmメッシュ8回更新/日のメソモデル
    または2kmメッシュ24回更新/日の局地モデル
    (GPVの詳細モデルかSCWの局地モデル)
    がおすすめです。

  • SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    えーーーー!?
    GPV気象予報ってすごく分かりやすいですね。
    ここまで進化しているとは知りませんでした。
    こんなに予報してくれると、
    毎日チェックするのが楽しくなりそう。
    今年は雨が降らなくて心配。

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