青色LED光(フルーライト)の目への影響は?実験結果から見えてくる健康被害について

NHKでLEDに関するニュースが報道されました。
「PCやスマホの青色光 健康影響調査へ」というもの。

青色LEDに関しての健康問題は数年前から一般的に注目度が高いものでしたよね。
パソコンのバックライトでも数年前にサムスンの「SyncMaster XL20」というモニタでLED光源が初めて使われ話題を呼びました。

最近では、蛍光灯型のLEDライトも多数発売され、一部でチラツキによっての健康被害が報告されていたりと問題化されつつある状態でした。

photo by christmasstockimages.com

私はLEDライトが好きな関係からLEDの話には少し耳を傾けていたのですが、さすがに医療関係の話になるとチンプンカンプン。
今回NHKで報道されたこともあり、チンプンカンプンながら、参考になりそうな文献を集めてナナメ読みしてみました。

関係する調査資料などのリンクは最後にまとめておきます。

その中で分かったことは以下。

CIE(国際照明委員会)では、光源によって人体に発生する障害を 10 種類ほどにまとめています。

いくつかを上げると、

  • 皮膚と目の角・結膜に対する急性の傷害
  • 近紫外放射による水晶体への傷害
  • 青色光網膜傷害
  • 網膜に対する熱的傷害
  • 皮膚の熱的傷害

などがあります。
詳しい個別の障害については素人の私には分かりませんが、光源によっては、こういった障害が発生しますよ。とCIEは言っているわけです。

さて、ここで今回の問題に関係あるものといえば「青色光網膜傷害」ですよね。

2002年に行われたLED光源の安全性の実験結果では、青色LEDがCIEの言うところの青色光網膜傷害を発生させるリスクがあるという報告があります。
リスクレベルは「RG-2・中リスク」

・ 原則的考え方としては,高輝度に起因する嫌悪感や熱的不快感が無い場合でも傷害を与える可能性のある光源。

となっています。

具体的なリスクレベル別の一覧表は以下。

グループ区分

区分のコンセプト

リスク免除

(Exempt Group)

原則的考え方としては、結果的にどのような光生物的傷害も誘起する可能性の無い光源。具体的必要基準としては、例えば8時間の照射を受けても、目や皮膚に急性の傷害を与えることが無く、10,000 秒(2.8 時間)見つめても、青色光網膜傷害を生じることの無いような光源は、このグループ区分になる。

リスクグループ1

[低リスク]

(RG-1)

原則的考え方としては、通常の一般的行動条件での照射範囲内では、光生物的傷害を生じる可能性の無い光源。具体的必要基準としては、リスク免除グループのレベルは越えるが、例えば、10,000 秒(2.8 時間)の照射を受けても、目や皮膚に急性の傷害を与えることが無く、100 秒間見つめても、青色光網膜傷害を生じることの無いような光源は、このグループ区分になる。

リスクグループ2

[中リスク]

(RG-2)

原則的考え方としては、高輝度に起因する嫌悪感や熱的不快感が無い場合でも傷害を与える可能性のある光源。具体的必要条件としては、RG-1のレベルは越えるが、例えば、1,000 秒の照射を受けても、目や皮膚に急性の傷害を与えることが無く、0.25 秒間見つめても、青色光網膜傷害を生じることの無いような光源は、このグループ区分になる。

リスクグループ3

[高リスク]

(RG-3)

原則的考え方としては、瞬間的な、あるいは非常に短時間の照射を受けても(あるいは見つめても)光生物的傷害を生じる危険性のある光源。RG-2のレベルを越える光源は、このグループ区分になる。

でも、これだけ読んでもよくわかりませんよね。

実際にどの程度の青色光を受けた時にどうなるのか。その実験がサルで行われていました。
「青色発光ダイオード光による網膜傷害」日本眼科學会雜誌 105(10), 687-695, 2001-10-10

この文献の中で書かれているサルを使った実験の部分を眼科医師の方がブログで解説しているのを見つけました。

そのブログで書かれている実験の内容部分だけを引用させてもらいます。

青色光の網膜毒性|きくな湯田眼科-院長のブログ 
実験は成熟雄アカゲザル6匹を用い、中心波長460nm、照射パワー1.2mWの青色LEDを使用、アトロピンで散瞳し、細隙灯顕微鏡と集光レンズを用いて網膜黄斑部に照射径が3mmになるようにして、それぞれ12分、23分、34分、40分、45分、90分間青色光を照射した実験です。照射後30日目に屠殺し病理組織を見ています。(大変力の入った研究です。なお実験に供されたサルは人のためとはいえかわいそう。冥福を祈ります)

この結果は”23分以内の照射では何ら異常は生じなかった。34分照射したサルでは蛍光眼底造影でわずかな過螢光を認めたのみ。40分照射したサルで蛍光眼底造影で30日目後期の過螢光を認め、組織学的検査で視細胞外節が崩壊、網膜色素細胞がほぼ壊死に陥っていた。”と言うことです。このことから彼らは28.8J/cm2 以上の照射で青色光での網膜障害が起こることを指摘しています。

いずれにしろ強い光を長時間網膜に当て続ければ光障害は避けられませんが、今回見られた実験系のように、散瞳状態で意図的に照射するようなことでもない限り、通常このような光が網膜に連続して当たることはありません。逆に言うと、このような過酷な条件下でも23分程度であったら何ら網膜に影響を与えないと考えた方がよいと思います。
http://ameblo.jp/yudaganka/entry-10569082259.html

この実験結果を読む限りですと通常のLEDライト程度であればそれほど問題ないことが分かります。
実験では中心波長460nm、照射パワー1.2mWの青色LEDを使用。
薬物を使って散瞳した状態で細隙灯顕微鏡と集光レンズを用いて網膜黄斑部に照射径が3mmになるようにして青色光を照射した実験です。

医師も語っているように、通常こんな状態で光を浴びることはありません。
普通に青色光を見ても問題ないのかも知れません。

でも、長期間の間、一定の青色光を見ることに関しての実験は無いように思います。
スマートフォンやパソコンなど、一日に数時間見ていて、なおかつ365日見ているわけですから数年間の単位で見た場合には相当数の時間になります。

こういった場合の影響は未だ分かっていないのかも知れません。

テクノストレス眼症という言葉もあるように、こういったテクノストレスの原因はもしかしたら青色の光が影響しているのかも知れませんね。
今後の研究結果を待ちたいところですが、以前の実験から読み取れることは短時間での集中的な照射は相当強烈な場合を除いては問題無いと個人的には結論付けました。

長時間関係してくる蛍光灯やパソコンのバックモニタにLEDを使うのは今のところ私は敬遠しておこうと思います。
長期間の照射で影響が見られない実験結果が出ると良いですよね。

青色光の網膜毒性|きくな湯田眼科-院長のブログ
質問:現在、LED電球や、LEDテレビ、LEDバックライトのパソコンなど普及していますが、そういったものは目に悪影響を及ぼすのでしょうか? 白色LEDにも青色LEDの波長が含まれているという話を聞き、 …
眼科の医師による解説です。


法の“空白地帯”でLEDトラブル、札幌市  :日本経済新聞
急速に普及し始めたLED(発光ダイオード)照明。ところが、性能を定めた規格や基準の法整備が追い付いていない。庁舎内の蛍光灯をLED照明に交換した札幌市役所で今春、象徴的なトラブルが起こった。 …

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