今話題の戦場カメラマン渡部陽一氏・宮嶋茂樹氏・高橋邦典氏がてい談!!! NHKディープピープル

2月19日の23時30分から30分間。
NHKのディープピープルで3人の戦場カメラマン(渡部陽一氏・宮嶋茂樹氏・高橋邦典氏)がてい談しました。

現場の第一線で撮影している方々ですので興味深く視聴させて頂きました。
今話題の渡部陽一氏がどんな話をするのか?というのも単純に興味がありましたが・・・。

宮嶋茂樹氏は多くの著書も出している有名な報道カメラマン。いやいやとても楽しい30分間でした。
見逃した方もいらっしゃるでしょうから、30分間のてい談内容の要旨を以下にまとめておきました。

現在フォトグラファーをしている方や、将来戦場カメラマンになろうという方はどうぞご一読してみて下さい。

番組で話したテーマは以下の7つ。

・使っている機材は?
・撮影手法について
・防弾チョキについて
・戦場で気をつけていることは?
・良い写真を撮影するために必要なこととは。
・自身のカメラマン人生とは
・フィルム派それともデジタル派?

【使っている機材は?】

高橋
24-105ミリを多用している。このレンズで90%は撮影している。

渡部
私は片方にスチールカメラ(16-35ミリを装着)。もう一方の肩にはビデオをかけていることが多い。最後の最後用にコンパクトでも撮影することを心がけている。

カメラはEOS1Dを使っている。古い型で画素数も少ないが、撮影の現場で耐え抜いてくれていて現在でも使っている。ものすごく重いカメラです。

宮嶋
私は24-70ミリと70-200をいつも大体常備している。
ストラップで「ブラックラビット」って知っていますか?
これがそうなんですが、最近はこのブラックラビットを使っているんです。

※ここで宮嶋氏が紹介していたのはBlackRapidの以下のストラップです。
ショルダータイプで2台のカメラを取り付けられるようになっています。

【撮影手法について】

高橋
私がワイド系を使うのは、見た人も近い距離感を感じてくれるから。現実感がある。

宮嶋
高橋さんがワイドを使うのは他のカメラマンにアングルを譲りたくないと言うのもあるんじゃないですか?

高橋
それもありますよね。

宮嶋
私は写真週刊誌出身だから16ミリというと車に乗っている犯人を撮影するときに一番撮影しやすいレンズと言うイメージが強い。

渡部
私も被写体に近づこうという意識はあるが中々近づけない。以前近づいて撮影していたら背中をケリ倒された経験がある。

高橋
写真で一番大事なのは感情。次に光と構図が来る。この3つが揃ったときにパーフェクトの写真になる。でもそうそう撮影できるものでは無い。
でも構図はカメラマンがほぼ100%コントロールできる。だから実力が一番出るのは構図だと思う。なので構図は大切だと思う。

宮嶋
構図と言えば顔を半分切るのがアメリカ系のカメラマンでは多い。
ナクトウェイなどもそうだ。計算して撮影している。とても上手いなあと思う。

高橋
ただ、そういった構図が流行りになってしまうことがある。

宮嶋
現場に行くと自分の撮影もそこそこに他人の撮影を見てしまうことがある。観察していると何でその場所で撮影しているんだろう?と思うこともある。日本の場合でも記者会見などの場合では他のカメラマンの撮影位置が気になってしまう。他人がナゼその位置で撮影しているか分かって、その構図が良い場合には恥も外聞も関係なくマネをする。

プロですから良いものはどんどん盗むことが大事。積極的にやって構わないと思う。

高橋
私も他人の撮影は気になる。自分の撮影と違う撮り方をしていると気になる。

【防弾チョキについて】

渡部
防弾チョッキは着る側?着ない側?

高橋
私は着ないほう。でもソマリア内戦での最前線の場合は着た。

渡部
米軍の物が良いと思って私は米軍のものを使用している。

宮嶋
米軍のものをわざわざ手に入れなくても合法的に手に入る民間の防弾チョッキであればイギリス製のものが結構品質が良い。イスラエル製も良い。
防弾チョッキは劣化するので3年ぐらいで買い換えたほうが良い。
移動中の車の窓に防弾チョッキをつけたりもする。
私の場合は逃げるときのケガが多い。

【戦場で気をつけていることは?】

高橋
最近は誘拐と群集が怖い。
ソマリアでは群集の暴動で相当なジャーナリストが死んだ。
群集の中では一人にならない。目立たないように。
誘拐は難しいが止まる場所やルートを帰るなど。
優秀な地元のガイドとドライバーが大事。

渡部
ガイドを調達するのに何度か大学に行ったことがあった。
大学生をリクルート活動する。
20歳の頃から現場に行くことを心がけたりしたが、金が無くて現場に行けない事もあった。
現場に行ってお金が底を尽き帰ってきてバイトをして、また現場に行って・・・という生活を繰り返した。

【良い写真を撮影するために必要なこととは】

高橋
私は大手メディアから飛び出しから良く分かるが、フリーカメラマンはニュースでは勝負できない。ムリだ。フリーカメラマンならば大手が撮影しないものを独自の視点で撮影していかないとムリ。

宮嶋
いい時!つまりライトブレイズ・ライトタイムにいくことが大事。それだけで半分は仕事が終わったようなもの。

高橋
そうですよね。確かにその通りだと思います。

渡部
私は今までを振り返ると。真逆のロンクタイム・ロングプレイズばかりだったような気がする。今でもライトプレイズ・ライトタイムを間違えることが多い。しかし成田を出ることは心がけている。

【自身のカメラマン人生とは】

高橋
リベリア内戦がターニングポイント。
2年後に新聞で特集をしたが、その新聞を見て、孤児になった女の子を養子にしたいと申し出があった。自分の写真がきっかけで、ひとりの人生を変えた。
写真によって何かを変えることが出来る。それを感じた出来事だった。

渡部
密着・生活・声。この三つの体温を感じられるような写真を作りたいと感じている。

宮嶋
30年近く写真ばかりの人生だった。何のため?と聞かれれば金のため。生活のため。プロならばそれが何がいけない。
同業者がどうやって撮影したのか分からない。そう言われる写真を撮影していきたい。
また写真を第三者が見た時に「これ見たことある!」といわれる写真を撮影したい。

【フィルム派それともデジタル派?】
宮嶋
2人はフィルムは使わない???

高橋・渡部
(使わないと回答)

宮嶋
私はデジタルデータの場合はひょっとして無くなってしまうのでは?と考えるときがある。

高橋
フィルムだと焼けてしまったら終わりです。デジタルならばコピーが出来ます。

宮嶋
もしも隕石が落ちてきて、その隕石がものすごい磁力を持っているとしたら・・・。データが全てなくなってしまう。そう考えるとデジタルデータは怖いときがある。
ポジならば磁気でも残っている。

高橋
その時はカメラも動かないでしょうね。

渡部
しっかり頭に入れておきます。

以上が内容の要旨です。
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活動の範囲は違うものの、同じくカメラで仕事をしているということから私にとっては非常に興味深い内容でした。

広角系のレンズの方がやはり臨場感という点では圧倒的に優位なのでしょうね。でも兵士の近くへ行って撮影するのは至難の業。狙い撃ちは少ないとしても兆弾などには気をつけないといくつ体があっても・・・。

宮嶋さんの「現場に行くと自分の撮影もそこそこに他人の撮影を見てしまうことがある」というのは、カメラマンならば誰もが経験することでしょうね。でも宮嶋さんほどのベテランが発言するとは頭が下がります。

駆け出しの頃は他人の撮影ポイントや撮影手法を真似ることが多いものですが、段々と固定概念や慣れが出てきてしまうもの。なのに何十年と撮影している宮嶋さんが他人を参考にすると発言されるのだから凄いと素直に思います。
私はまだまだ他人の撮影は気になりますが、これからもその心は持ち続けようと改めて思いました。

防弾チョッキに関しても初めて知る内容。防弾チョッキって劣化するんですね~。知りませんでした。まあ知らなくていい話しですが。
私は海外で防弾チョッキを着るような現場に行ったことは無いのですが、先輩がイラクへ行ったときにはオランダ軍の防弾チョッキを着ていたような気がします。確かにあれは重いらしいですね。

防弾チョッキって基本的には兆弾の為に着ていると良く聞きますが撮影現場で兆弾に当たったことってあるんですかね?そのあたりも気になるところですが・・・。

でも昔から言われているように、良い写真を撮るには、その場所にいることが大事だ!と言われますが戦場カメラマンにとっては特にそう感じることが多いでしょうね。

いや~、たった30分の番組でしたがとても良くまとまっている感じでした。もう少し長くても良かったかな。
また同じような企画の番組を楽しみにしています。

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この記事を書いた人

Orcaのアバター Orca 管理人

Nickname : Orca   
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My job : Photographer,Drone Pilot

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アドビ認定Photoshopエキスパート(ACE)
JUIDA無人航空機操縦士
第二級陸上特殊無線技士
アマチュア無線技士

プロフォトグラファー歴20年になります。ブログ歴は15年。写真やドローン関連を中心に気になる情報を備忘録として書いております。
d.bibouroku@gmail.com

コメント

コメント一覧 (1件)

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    さすがプロだな。こういうのを
    見てるだけでも勉強になります

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